第18話 神の宿る祠

「これはこれは、めずらしいところでお会いする。」

でっかい魔物が言った。


キルトに、だよな?

知り合いなのか?


キルトの方を見ると、怒っているように見えた。

「このことは…」

魔物が話している途中でキルトが攻撃に入った。



あ、話って最後まで聞かなくても攻撃していいんだ。

てっきり、あっち側とこっち側と、言いたいこと言って、名前名乗ったりするまでお互い待っとくのがセオリーだと思ってた。

じゃあ、変身する間も待ってなくていいってことか。これ、みんな知らないよな、絶対。



キルトがボスキャラに集中しているので、オレはそのまわりにいるザコ達を相手することになった。

そんなに強くはないが、倒しても倒してもどこからか湧いてくる。

どうやらボスキャラが呼び寄せているらしい。


ちっこいチワワみたいな魔物であの強さなわけだから、さすがにキルトも手こずるだろうと思ったら…数回の攻撃であっけなく終わった。



絶対にキルトを敵に回すのはやめようと心に誓う。



魔物がいた奥の部屋に向かうと、女の人が数人囚われていた。

3か月に一度で3年間…そこにいた女の人は全部で4人…



もっと早く、来なければならなかったんだ…



それでも、ルルアのお姉さん、カレンさんはまだそこにいた。

それだけが救いだった。




囚われていた女の人を町に送り届け、カレンさんにはルルアからの手紙を渡した。

女の人達の家族は再会できたことをとても喜んで、感謝の言葉をたくさん言われた。


助けてあげられなかった家族の人は、それでも助かった人たちに、

「良かったね。」

と、優しい言葉をかけていた。



全員を助けられなかった…

これじゃあ全然ダメだ。

何よりも、今のオレじゃあ、キルトがいないと何もできない。



「勇者」なんてなるもんじゃない…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る