第15話 ステラの町へ
行き先をステラの町に決め、向かっている途中、
「あの子、ルルアのお姉さん、カノンさんだっけ?何事もなければいいね。」
キルトが心配そうに言う。
マジメか?
マジメなのか?
いや、それより、魔物のキルトより冷めたオレがやばいのか?
ステラの町は、ここから山を一つ超えたところにある。
そこに山があっても登りたくないオレには、苦行としか言いようのない道のりだったが、キルトは平然と山道を歩き続ける。
根底の体力も違うよな…
山頂に近づいたところで、道が二手に別れた。
一つには「ステラの町こちら」と書かれていて、もう一つには「神の宿る祠こちら」と書いてあった。
迷わずステラの町の方へ進む。
と、突然魔物の群れが現れた。
めずらしいこともあるもんだ。
キルトと一緒にいると、魔物に出くわすことはほとんどなかったので、久しぶりだ。
たまにはオレも戦うよ、と言いながらも群れの中で比較的小さい方を受け持って戦う。
キルトは何か魔法をかけられたりしていたが、オレなんかよりよっぽど早く魔物を倒した。
いつものように宝石を手に入れ、カバンにしまう。
ふと、キルトを見ると、体の片方が紫に変色していた。
「キルト、お前、毒にやられた?」
「ああ、そっか。これ毒か。道理で少し体がピリピリすると思った。」
いや、少しとかそんなレベルじゃないと思うぞ。
それで歩けてるお前に驚くわ。
「待てよ、毒を消す魔法かけてやるから。」
そう言うと、キルトは驚いて
「アイザック、回復系の魔法が使えるの?すごいんだね!」
と、尊敬の眼差してこちらを見てきた。
「お前、そんなに魔力があるのに毒消しの魔法は使えないの?」
「回復系は全く使えないよ。」
そうなんだ…
やっぱり魔物だからなのか?
キルトはオレの魔法ですっかり回復した自分の体を珍しそうに見ていた。
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