第13話 サファイア

「本当です。父はわたしを隣町のお金持ちの男と結婚させたがっていたのですが、わたしはここにいるランダスのことが好きで…だから逃げ出したのです。」

「ちょ、ちょっと待って。盗賊が宝のサファイアを盗んだ、て聞いたんだけど?」

「わたしがサファイアです。それに、彼は木こりです。盗賊なんかじゃありません。この森に

住んでいるみんなも木こりです。」



まじかーっ。

危うく「勇者による大量虐殺!血塗られた夜の真相!」みたいな文秋砲はなたれるとこだった!

あいつら眠らせただけで良かったーっ。



ちらりとキルトを見ると、キルトは目をうるうるさせていた。

か、感動してる感じ?

どこに?

ホント、わかんないやつだ。


しょうがないなぁ。



「ランダスさん、サファイアさん、どうかここにいる勇者様にお任せください。2人はこのままここで幸せに暮らしてください。」

「ありがとうございます!」

ランダスとサファイアは嬉しそうに言った。


小屋を出て、来た道を帰る時もまだ木こりたちは眠ったままでいた。



どんだけ魔力強いんだよ。



水門を抜けたところで、鍵を水の中に投げ捨てる。


「やっぱり、鍵いらなかったね。」

キルトが笑った。

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