ゴーストアンドレディを観てきたぞぃ。ネタバレ編
前回の前書きに引き続き、こっからは記憶を頼りに、良かったところと物足りなかったところを徒然に書いていくよ!
ただの私の手記なので、原作をご存じの方はオタクの熱量だけ楽しんでね。
これから劇団四季のゴーストアンドレディを観ようとしている方は、観てから読んで下さいね。
▼△▼△▼△▼△▼△
まず、
撮影は自分の席からならOKとのことで、ありがたく撮影させて頂きました!
真っ暗になったかと思えば、ドーン! というけたたましい音と共に、会場が真っ暗に。何事かと思っていれば、青い炎(人魂?)が緞帳の前をゆらゆら。
視線で追っていたら、パッと
いきなりのイリュージョン。まんまと騙される私。
そして、語りはじめるグレイ。
……ということは、つまり
黒博物館シリーズとして、劇団四季でやるわけではないから仕方ないんだけれど、
だが、グレイを語り手に、我々観客に話しかけてくるのは有りか無しで言えば、有り寄りの有りです。なるほど、こう来たか、と。
グレイは幽霊なので、「え、みんな俺のこと見えてる? え? 見えてるの? じゃあさ、ちょっとさ、俺の見てきたナイチンゲールのお話見てってよ。あいつホント凄い女だったんだからさ」と、グレイが話し出す。
もうね、
もちろん、フローもなんだけど。
なんだ、原作通りかと納得。
ところで、原作では<かち合い弾>が重要アイテムだったはずだが、
確かに銃弾では小さくて舞台で掲げられても見えないし、舞台映えを考えたら仕方ないのかもしれない……むむむ。
でもナイチンゲール自体が「ランプの淑女」と呼ばれるくらい彼女を象徴とするアイテムなので、あながち見当違いでもないんだよね。
そのへん、うまいな。と思う。
原作はややバディ感のが強くて、劇団四季はラブストーリー感が少し強い印象。
どうしても時間内に収めなきゃいけないので、お互い心を許すのが早すぎるなぁとは思ったところもあるけど、そもそもストーリーののっけからクリミア半島に行ってしまうので仕方ない。
フローの闇深さ、使命を全うできない歯痒さが薄れちゃってる感じだけは少し残念だったけど、グレイが語るフローの物語なのだから闇深くなくていいのかな、とも思うわけで。
そう思わせるのだから、やっぱり脚本が上手だなぁ。
上手と言えば、グレイの宿敵であるデオンが、男装女子だった設定は「オイオイオイオイオイ! そうきたかぁー!!」となりました。
生前のグレイを殺して、天寿真っ当した生粋の殺し屋もとい決闘代理人。
原作のデオンは人を殺すのが好きで好きで好きで好きで、死の間際まで「もっと人を殺したかった」なとかのたまう狂人だったんですが、ミュージカルのデオンはなんだかちょっとカッコイイんですよね。
誇り高いというか、自分の死に場所を求めているっていうか。もう幽霊だけど。
原作になかった、人間を殺すと幽霊は消滅しちゃうっていう設定があったせいか、崇高な魂を持つフローを殺して自分の死を色鮮やかに飾ろうとしているところとかグッとくるんですわ。
原作は断然フロー推しなのですが、ミュージカルはデオン推しになっても仕方ないよね。
あとデオンの衣装が好きすぎる。殺陣も美しすぎたし、舞台を駆けているのに全然足音が響かないの幽霊過ぎてすごい。
そうそう幽霊たちが突然現れ過ぎてホント幽霊だった。
いないと思っていた場所にいたり、気づいたら椅子に座っていたり、煙と共に現れたなと思ったら出てきたとこ壁じゃん? え、出でこれんくない? と謎だけ残して帰って行ったり。
あとまさか劇団四季で空中戦が見れるとは思いませんでした。
空中でグルングルン戦うの、すごすぎた。
でもその手前では、ラスボスでもあるジョン・ホールとフローが口論してたりしてもうどこ観ていいやら。見どころがたくさん過ぎて、目が足りないぃ!!
ジョン・ホール。原作でもミュージカルでもホントに嫌な奴ですよぉ!
でもキャストのジョン・ホールがもうナイスダンディだったんです。声が素敵過ぎるし、最後のカーテンコールの時なんてお茶目過ぎて「くっそ、好き……」ってなってしまった。
ラストのジョン・ホールとフローの戦いがあっけなくて、もっとがっつりやって欲しいかったなぁというのが一番残念だったところかな。
人間の心に巣食った悪霊みたいなものが所々出てきて、それを攻撃すると宿主である人間の思考が著しく低下するみたいなものが原作にあるのだけど、ラストバトルで誰よりも巨大な化け物をその内に飼うフローが、ジョン・ホールの悪霊を一撃で沈めるところとか最高にかっこよかったんだが、そこが無くなってしまっていてとてもがっかり。
確かに原作派はそれありきで見ているけれど、突然それが出てきても「???」ってなるだけだから、仕方ないかぁ。
家族を説得するときとかに少しだけ出てきたので、てっきりラストはすごい化け物がでてくるのかと期待してしまったのだが、残念だったー!!
あと、フローを殺すよう命じられた軍人さんが返り討ちにあって「ただ命令に従っただけだ」っていう戦争のやりきれなさ的なものもカットされてしまっていて、フローを助けてくれる感じに変わってしまっていた。
もうひとつ、フローが夜の見回りをしているとき、患者さんがその影にキスをする描写とか、 暴漢に襲われそうになったフローが撃退する描写とかも変わってしまっていて、そこは残念でしたわ。
でも逆に普通ならミュージカルだけのオリジナルキャラとか、少年兵が青年になってたりもあったけど、そこはあまり違和感がなく、むしろフローに憧れる後輩看護婦さんはとても可愛かった。
憧れ過ぎて劣等感を抱いてしまうところとか良いヒューマンドラマ持ってきたなぁ。
短い公演の中で彼女がいることで、フローがどんなに凄いか客観的に良く伝わるしね。
フローたち以外の役の人間性が見やすくて良かった。
物語の終盤、グレイがデオンと相討ち覚悟で戦い辛くも勝利したけれど、やっぱりダメージが大きく消えてしまうところは、原作超えの悲壮さだった。
フローの慟哭が本当に本当に悲痛過ぎて、もらい泣き。
暗転。
そして、場面はおばあちゃんになって天寿を全うしようとするフローの寝室へ。
少年兵のボブさんが、車椅子で登場したのは原作ではずっと椅子に座ってたからですか? と勝手にリスペクトを感じた。
フローの魂を迎えに来たのは消滅したと思われていたグレイでした。
永い年月を経て、ようやく出会えた二人。抱き合ってた? もう出会えたことが嬉しすぎて記憶が曖昧だけど、人間と幽霊だったので接触は一度もなかったはず。
でもお互いに幽霊になってはじめて触れ合えるの尊い。
ま、そんないちゃつく二人が見えている視える人ボブさんは「!?」でしたけども(笑)
サムシング・フォーの人から借りたものが、かち合い弾だったところを、勝手にフローのところからランプを借りてきたグレイ。
その悪びれなさに笑ってしまった。
そしてお迎えのときがやってくる。ほんとクライマックスが良すぎた。何度でもみたい。
舞台が光に包まれ、天国の扉が現れる。それに向かい歩きだすフロー。
まるで絵画の一枚のような神々しさだった。グレイはまだやり残したことがあるから行けないと、現世に残る。
やり残したこと、それはフローの生涯を脚本にしてここで見せること。
我々に見せてくれたこの物語こそが、グレイがしたかったこと!!
そして、冒頭に繋がるというわけです。脚本上手すぎか?
書き足りないところ、記憶違いもあるかもだけれど、ホントにホントに素晴らしかった。それだけは間違いない。
カーテンコールも何度も出てきてくれて、ずっとお茶目してくれてたジョン・ホールが可愛すぎたこと、グレイとフローがイチャイチャしていたこと、ホントにもうミュージカルからしか得られない栄養素がありました。
本当に素晴らしい舞台ありがとうございました!
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