エピローグ2

「身体の方はどうなの? 」


 姉が探るように俺に聞いた。


「いや、鎧を着こんでいるのと違って分離できないから。完全に甲殻類みたいな外骨格だよね」

 

 俺がそう答える。


 何しろ、ケツまでおかしい。


 排泄と排尿はできそうだが、カチカチである。


「……穴はあるの? 」


 姉がきらりと目を光らせた。


「ほぁあぁぁぁぁあああああああ? 」


 何という事を聞くのかと俺が衝撃を受ける。


「お、お前っ! トチ狂うなよ! 女神エーオストレイル様もいらっしゃるんじゃないのか? 」


 流石に父のシェーンブルグ伯爵が慌てて姉を止めた。


「だって、既成事実も出来てないし……」


「いや、姉さんはボーイズラブが見たいだけなのでは? 」


 俺が驚いて突っ込んだ。


「ふぅ、分かって無いわね。愛ってものは不確かなものなのよ」


「いや……なに、その言い方……急に恋愛の上級者みたいに……」


「誰でもそうだけど好きなだけじゃ駄目なの。愛は確かめ合ってこそのものなのよ……」


「いやいや、男同士だよ? 」


「できるじゃない」


「できないよ! 普通は? 」


「そんな事はありません」


 姉がきっぱりと決めつけたようにぐいぐいと来た。


「いや、お前。確か、昔に聞いたときは前世で恋愛してない喪女じゃなかったか? 」


「本は一杯読んだもの」


「ボーイズラブだろ? 」


「愛と言うものにそう言うのは関係ないわ」


「いやいや、一応、皇太子殿下は女性のマグダレーネだと思っているけど、まだ男性のマクシミリアンだぞ? 先は女性に変わるとしても、今は男性だし」


 父のシェーンブルグ伯爵の言葉がもう俺が女性に変わる前提になっていた。


 やはり、そうならないといけないのか。


 凄い不安だ。


 昔のエロ本とかの一部であった、男の親友がいきなり性転換して女性になるようなものだ。


 漫画ではあっても現実になったら、どうなるんだろう。


 だらだらと汗が出る。


 外骨格だけど汗がでるのも驚きで、ひょっとしたら表面だけ硬化させて中身を守ってんのかもしれないけど……。


「でも、男性でも気にせず手を出していたけどな」


「それ、腐女子の本でしょ? 」


 姉の困惑に俺が突っ込んだ。


 やばい。


 現実と創作が区別がついていないのではと言う恐怖が。


「いやいや、ちょっと、俺は自分がそんな感じで迫られたら無理だぞ? 」


「御大層にいろいろと変な話知ってたじゃない」


「所詮、知識だし。あるはずの無いものがあったら厳しいんじゃないかな。現実には」


 そう父のシェーンブルグ伯爵が話すと、何故か心の奥底が少し落ち込んでいた。


 微妙に女神エーオストレイル様がショックを受けているようだ。


 そこまでしないといけないのだろうか?


 逆にそれで俺もショックを受けていた。


「いやいや、落ち込む話では無いでしょ。別に女性になれば言い訳ですし」


 そうアメリアが話す。


 そう言いつつも性別転換とか、なかなか俺的には精神的に来る話ではあるが……。


「あまり、この手の話はちょっと。あまり言うと女神エーオストレイル様が落ち込んでるし」


「え? 女神エーオストレイル様が落ち込んでいるの? 」


 父のシェーンブルグ伯爵がそう困惑した。


「否定的な話をするからでしょ! 」


 姉がむっとした感じで話す。


「ご心配なさらなくても良いです。初代皇帝様は女神エーオストレイル様が異様なお姿をしておられても愛しておられました。その愛は、たった一本の棒があるくらいで揺るぐものではありません。ご安心ください」


 アメリアが凄く異様な事を話し始める。


 いやいや、壊れて無いかな?


「そ、そうですよ。身体を女性に変えた時に出るとこが出て、引っ込むとこが引っ込んでいればですね」


 などと父のシェーンブルグ伯爵が話すから、胸がスリムな姉が黙って父のシェーンブルグ伯爵の足を蹴り始めた。


「ちょっとぉぉ! お前、力が強いんだから痛いんだから! 」


 父が騒ぐ。


「まあ、気になさらないでも良いんじゃないですか? 大丈夫ですよ」


 そう何が大丈夫か分からないが、ちょっと落ち込んでいる女神エーオストレイル様に引っ張られて俺も落ち込んでいたので心配したのかアメリアが声をかけてきた。


 何で断言できるのか、俺には良く分からないが……。


 まあ、皇太子殿下もかなり心が広そうだし。


 普通なら、俺が女性だとしても修羅とか指揮するようなやばいのは嫌だろう。


 それでも、大事にしてくれるのだ。


 何故か、俺の心がそれで思い出したせいか高鳴る。


 心の奥底の話なんで女神エーオストレイル様のものかもしれないが……。


「こ、これは……」


 そうしたら、勝手に俺のお尻当たりを摩ってアメリアが絶句した。


 いや、触るか?


「どれどれ」


 そうしたら、姉も触ってきた。


 いや、まだ男なんだけどな。


 でも、それ以上に変化していた。


 鎧のように見えた身体はやはり姉たちが触っても本当の身体であった。


 つまり、分離できないのである。


「こ、これで皇太子に夜這いは? 」

 

 姉が痛恨の顔で騒ぐ。


 流石にどうにもならないと理解したらしい。


「いや、と言うか皇帝陛下の謁見とかどうするの? 」


 俺がそんな事よりも大事な話を話す。


 すでに戦うための身体に変わりつつあるのだ。


 出来たら、謁見してから変われば良かった。


「そうか、そう言う問題もあるよな……」

 

 父のシェーンブルグ伯爵が考え込んだ。


 厄介な話は続くのであった。


 というか、逃げたアルメシアはどうするんだろうなと、全く一番大事な話をしない皆に呆れていた。


*******************************


 後書きの場所がないのでここに書きます。


 一応、これで大体、次の話のおおまかな設定を組んである程度書き終わるまで、お休みします。

 

 続きが出来たら投稿を再開予定です。


 とにかく、つたない作品を読んでいただいてありがとうございます。


 まだ続きますので、投稿を始めたらよろしくお願いいたします。

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