エピローグ
「どうやら、向こうの戦いも終わったようだな」
そう戦場を見ていたシェーンブルグ伯爵が呟いた。
「それにしても良くあんな遠くが見えるよね」
黒騎士の姉が兜の前当てを取って顔を出して呟いた。
「わし、多分視力が4.0くらいはあるもの」
「マサイ族みたいだね」
「はははは、転生者ギャグか? 」
「いや、ギャグとは思えないけど……」
「やっぱり世代間ギャップって転生者でもあるよな……」
「そりゃ、向こうでの年代が父さんは昭和の育ちだもの」
「せつないな」
シェーンブルグ伯爵が苦笑した。
黒騎士の姉も笑った。
エードアルトはアルンハルト公爵家の軍を纏めるの為に、父と兄とが敵に襲われた事にして戻った。
エードアルトが父と兄の敵として成敗したという敵の死体はシェーンブルグ伯爵家が用意した。
その襲撃の混乱でシェーンブルグ伯爵家は動けなかったとアルンハルト公爵家の軍の皆には説明する予定だ。
「にしても、一日しか皇太子に会う日が無かったのは失敗だったな。まだ男のままだろ? 」
「いや、まだ世界の平定は終わってないし」
「せめて心だけでも少しは女の気持ちになってくれていると良いのだが……」
「私は別に男でいいんだけどな。男と男。しかも弟が皇太子とそういう関係とか、猛烈に推せる」
「お前は腐女子だもんな。でも、それじゃあ困るんだけどな」
「弟の中にいらっしゃるのはいらっしゃるんでしょ? 」
「ああ、女神エーオストレイル様は間違いなくマクシミリアンの中にいる。まあ、女性に変わった時に、性別が変わるのはやばいから男のマクシミリアンをマグダレーネと言う名前で女性として皇国の表向きには報告してあるがな」
「まあ、事情を知らなかったら何事って思っちゃうよね」
「漫画みたいになっちゃうからな……男から女とか……お? 」
そうシェーンブルグ伯爵が前を見た。
*********************************
ツェーリンゲン公爵とオイレンブルグ侯爵は負けた。
首が槍に刺されて晒される。
終わったのが分かった皇太子が呆然としていたが、何かを見つけて戦場を走り出した。
「皇太子殿下? 」
アレクシスが慌てて止めたが止まらない。
皇太子が自分の鎧が邪魔で投げ捨てながら走る。
その先には重さのあまり、鎧を少し外したマグダレーネ……マクシミリアンがいた。
************************
「もう少し鎧を外しておかれた方がいいのでは? 」
アメリアが俺に囁く。
「いやいや、でも服が」
「大丈夫です。女性用の簡易の服になってますから」
「いや、だから。それが……」
俺がそう困ったようにつぶやいた。
だが、そんなところに皇太子が走ってきた。
そして、小柄な俺を持ち上げると泣きながら抱きしめた。
そっと柔らかく。
あの別れの時のように大切に……。
「ありがとう……」
そう言って皇太子が泣く。
貴族は貴族足るべし、騎士は騎士たるべしを俺が破って戦った事は気にしていないようだった。
ただただ、俺に助けて貰った感謝に溢れていた。
冷血と言われていたが、本当に誠実な人物なんだろう。
「取り消した婚約の話だが、もう一度考えなおして貰えないだろうか……」
まるで愛を囁くように言われた。
そして、俺はその時に自覚した。
心臓がトクンと鳴った。
頬が凄く赤くなった。
自分でも何が起こったかわからなくて困惑した……。
だが、そのドキドキは止まらなかった。
*************************
「愛の話の始まりかな? 」
シェーンブルグ伯爵がそれを遠目で見てほぅとため息をついた。
「いや、まだ男性なんでしょ? 」
実はちゃっかり全てを知っていたゲオルクが突っ込んだ。
「私的にはありなんだけどな」
腐女子の姉の黒騎士が呟いた。
「ううううむ。恋愛の対象相手が男から女になるという事は……一粒で二度おいしいって奴だな」
「何を言ってるんだが訳が分かんないんだけど……」
シェーンブルグ伯爵の言葉に姉の黒騎士がジト目で突っ込んだ。
その抱擁は皆が見ていた。
一つの新しい時代の始まりである事を皆に予感させる姿であった。
まあ、まだ男だけど。
*******************************
後書きの場所がないのでここに書きます。
一応、これで大体、次の話のおおまかな設定を組んである程度書き終わるまで、お休みします。
続きが出来たら投稿を再開予定です。
短編の練習したいのが本義ですので、こちらより先に別の作品を投稿するかもしれません。
まだ、ここまでだと恋愛まで入ってないので、それは書きたいなと思ってるのですが……。
とにかく、つたない作品を読んでいただいてありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます