第12話 アシュル山
アシュル山はゆっくりだと三日はかかる工程で途中の食事の用意を言い渡されたリナは、朝からリムルに手伝ってもらいながら携帯用の食事を作っていた。
容器には蓮科の植物の葉を使った。
水はマセルという植物の実が丁度良い筒状の入れ物となりそれを3人分用意した。
老人達の所には豊富な山の幸があるらしいので片道分の準備だけで良かった。
道中はかなり険しい道なき道が続く。
「リナ大丈夫か。」
「少し休まないか。」
クレメンスとジュエルが交互にリナに声をかける。
「もう、うるさいよ。」
あまりにも過保護すぎてリナはイライラしてきた。
老人達が暮らしているのはアシュル山でドゥームから避難した山よりさらに奧に入りもう一つ越えた山にある。
避難場所の山はサージと言い、次の山はマシーバと呼ばれていた。
三人はマシーバに入り少し登った所の水場で昼食休憩をとる事にした。
クレメンスとジュエルはリナが用意した昼食を美味しそうに食べた。
「美味いな。」
クレメンスがぼそっと。
「リナの料理の腕はリムル仕込みだな。」
それは決してお世辞ではなく本当に上手なのだ。
食事を終えると、疲労も軽減されたのか三人の歩調は出発したての速さに近いものになっていた。
順調に進んできたその時右奥の分かれ道の方から何か唸る声が聞こえてきた。
クレメンスがまずその声に気付き二人を右腕でその場に留まるように指示して自分はゆっくりと唸り声のする方に近付いて行った。
そこには小さなとても怯えた動物が震えていた。
何を怯えているのかはわからなかったが、クレメンスを見ると安心したのか意識を失ったようだ。
「大丈夫みたいだ。来てみろよ。」
二人も近付いて来ると、クレメンスはその動物を静かに抱えた。
「グリマーだ。少し怪我をしているようだ。可哀想に。老人達の所で休ませよう。」
グリマーは人やリザードンがこの山に来る前からこの山に住んでいた。
穏やかな表情が皆に好かれて皆に餌をもらったり特に人に対しては良くなついた。
「グリマーには伝説みたいな物があると聞いているが。」
ジュエルはぼそっと言い放った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます