第8話 隣村

 リナ達が森に這々の体で逃げ隠れた頃、隣村の方から野獣のけたたましい咆号と人々の悲鳴が聞こえてきた。


 隣村はその中心に集会所を持ち、その周辺に民家がある。


 咆号と悲鳴はそちらの方から聞こえる。


 そこは、地獄絵図があった。


 そこに居たのはコープスとフューリーだ。


 コープスの大きすぎる口は、女性の頭を丸のまま咥えておりその鋭利な爪は彼女の胸を貫いていた。


 もう、彼女は絶命していた。

 

 フューリーの剣には3人の若い男性の身体が刺さって居た。


 3人のうちの1人はなんとか剣から逃れようともがいてようやくフューリーの左手の剣から外れて逃げようと試みたが、フューリーの右手の剣は一瞬で彼の首を刎ねて殺害した。


 やがて、ドゥームの手先の中でも小物のドワーフが村の住居に火を放った。


 人々はドゥームの化物に残忍に殺されるか、ドワーフが待ち構える中に突進して喰い殺されるか、炎の中で燃え死ぬか。


 いずれにしてもそこには死が待っているだけであった。


 その日、一つの村が消滅した。

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