第7話 ドゥーム
リナがドゥームを見てみたいと思いそれを実行にうつしたことは決して褒められた事ではない。
そして、始めて目の当たりにしたドゥームの姿を見た時、リナは自らの取った行動を心の底から恥じた。
皆が森に逃げた後リナは一人で青年隊の集会所から姿が見えない木の影でドゥームの禍々しいその姿を見て恐怖に身体が縮こまっていた。
どうしたら、あんなものと戦い倒すことができるだろうか。
まさに、怪物である。
そこにドゥームは2体いた。
1体は植物にも見えるが巨大な身体に顔に当たる部分に花びらのように花弁がぐるりと生えている。
その顔の中心にこれまた大きな口があった。
そして樹木のような胴体から8本の触手が生えていてそのうちの2本に目のようなものが見てとられた。
その化物は青年隊が飼育していた鴨を次から次へとその触手を使って捕まえてその大きな口へと運んだ。
もう1体は4本足の猛獣で、その巨大さは4本足を地に付けた状態でもリナの3倍の背丈があり全身を黒い毛で覆われており獲物を捕らえる大きな口からはこれまた大きな牙が覗いていた。
恐怖で身動きする事が出来なくなった少女の元にジュエルがやって来た。
彼は何も語らず固まっているリナの手をしっかりと握りしめ、半ば引きずるように彼女を連れ出した。
静かに静かに。
音を立てれば死が二人に降りかかる事は明白だ。
幸い化物は目の前の鴨という獲物を食らうのに忙しいのか、リナ達の方を気にする様子もなく二人は無事にその場を離れる事ができたのである。
そして、森に入ってからリナはジュエルにこっぴどく怒られた。
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