第6話 青年隊
ラーン王国が滅亡してから国はいくつもの小さな町や村に分断され、その後はそれぞれの町や村での自治でドゥームの侵略を防ぐしかなかったのだが王国をもってしても防げなかったものがそんな小さな集まりで防げるはずもなく、せいぜいドゥームの襲撃を察知して人々に逃げる合図をするのが関の山だった。
その日も、ドゥームの襲撃の知らせの狼煙が上がった。
「父様、狼煙が。」
物見櫓のある方向に黄色い炎が上がっている。あの方向の狼煙がドゥームが現れたという証だ。
ドゥームが現れた場合、人々はすぐさまシェールの森へと身を隠す。
シェールの森は神の宿る森と昔から崇められている上に皆の命をも守ってくれる救いの神とも言える。
とにかく余りにも深い森なのでここにさえ隠れてしまえばドゥームからは逃げ切れるのである。
「皆、すぐに森へ行くんだ。」
ムルの掛け声で一家は一目散に森へと走り出した。
「リナは大丈夫か。」
マットが答えた。
「青年隊にも連絡は行ってると思う。あっちのが森に近いし大丈夫だと思う。」
そう。狼煙の事はすぐに青年隊の集会所に伝わった。
そこに居た人とリザードン達も直ぐに森へと向かった。
皆が森へと走る中、リナの姿がない。
青年隊のリーダー、ジャミルがそれに気がついた。
「おい、リナは何処だ。」
森へと走る集団の中にはいないようだ。
ふと、ジュエルはリナが昨日まだドゥームを見ていないので一度見ておきたいと言っていたことを思い出した。
「あの、馬鹿。」そう吐き捨てると集会所の方に戻ると他の者達に告げ、急いで走り出した。
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