第35話


 両手を合わせて、「頼む!」と懇願してくる。


 学校に行くまでに色々準備しようって話し合ったじゃん…


 あんたの学校のことや、友達のこと。


 「橘祐輔」としての高校生活を送らなきゃいけないわけだから、ぶっつけ本番っていうわけにはいかない。


 そのための作戦会議を開こうって、あれほど…



 「九州に行くがてら考えようぜ」



 考えようぜじゃないんだよ。


 ようぜじゃ。




 彼女にラインを送った。


 『明日、待ち合わせ通りの時間に』


 どうやらお金は、彼女が事前に払ってくれてたらしい。


 距離が遠いし、数千円じゃどうにもならないからって、夏休みが始まる時に。



 「受け取ったの?それ?」


 「うん」



 往復50,000円


 そんな大金、受け取るなよ…


 大体なんで九州にわざわざ行くの?!


 そりゃあ仲が良かったらそんなこともあるのかなって思うが、お泊まりデートなんてこっちですれば良いじゃん!


 そもそも“お泊まりデート”自体が、いかがわしさの塊ではあるが

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