第26話
◇◇◇
ザザァ、ザザザ…
「これからどうする?」
「さて…」
どうしようかと言われても、あの体の様子を見る限り、手の施しようがない。
もしかしたら、死んじゃうんじゃないか?
そんな不安が、頭の中を掠めてた。
…このまま、目を覚まさない可能性も…
「弱気になんなよ」
「なるでしょ。フツー」
ならない方がおかしい。
逆の立場だったらどう思う?
わかるでしょ?
今の状況。
「…ごめん」
「…あ、いや、…こっちこそ、ごめん」
昔はよく海に来てたよね。
懐かしい。
市内の学校に通うようになってからは、あんま来てなかった。
海自体は近いんだけど、昔よりは…ね?
「色々試してみてもいいんじゃね?」
「試すって?」
「…いや、ほら、降霊術とかもあるじゃん。昨日試さなかったやつ」
降霊術って言っても、何を“降霊”するの?って話。
亡者の霊を呼び寄せるって書いてあったよ?
私は「亡者」なわけ?
「そういうわけじゃないが…」
「試してみるのはありかもしれない」
「だろ?」
期待はできないけどね。
下手なことして別の霊を体に呼び寄せちゃったら、今より最悪な状況になっちゃう
だからやるなら、慎重にやんないと…
「友達に会いにいくか?」
「…だからそれは」
あんたの体で会いに行って、一体誰が信じてくれるって言うの?
母さんだって信じてくれないんだよ?
下手なことして怖がらせたくない。
「でも紗良ちゃん?だっけ。信じてくれてたじゃん」
「紗良ちゃん」っていうのは、私の親友。
高校ではクラスメイトだ。
先週かな。
思い切って電話をかけてみたのが。
「あの子は特別…」
「そうか?」
「幽霊とか信じちゃうタチだから」
「お前は信じてないの?」
「まあね」
紗良に電話したら、最初はもちろん信じてはくれなかった。
誰!?って感じでめちゃめちゃ驚いてて、やっぱりね、って思っちゃうような反応だった。
でも翌日、病院に来てくれたんだ。
どうやら「私」のお見舞いに何度か来てくれてたみたいで、今までずっと心配してくれてた。
電話した次の日の朝、わざわざ祐輔のいる病室の番号を調べて、顔を見せに来てくれた。
それから色んな話をした。
祐輔の体に入ってること、事故のこと、祐輔の霊が見えていること。
多分、信じてくれたのは祐輔のおかげもある。
ちょっとしたゲームをしたんだ。
私は目隠しをして、紗良には好きな文字を紙に書いてもらう。
それを祐輔に読み上げてもらう。
ってな感じで。
他にも協力してもらった。
祐輔と私にしかできないようなことを。
紗良は目をまん丸にして驚いてた。
信じてなかったのが嘘みたいに。
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