第22話
「一生このままってことはないよな…」
「もし一生このままなら、私は自殺する」
「まじで!?」
冗談だけど。
血の気の引くようなこと言わないでくれる?
一生とか、がちで無理なんだけど。
「どうやって侵入するか、だな」
「看護婦さんにお願いしたほうが早くない?」
「でもダメだったんだろ?」
「今はね」
「じゃあちょっと待つか」
「うーん…」
待つって言ってもなぁ
あと何日コイツの体にいればいいんだろう。
もうシャワーだって浴びたくない。
トイレにも行きたくないから水も飲んでないんだ。
おかげさまで、喉がカラカラなんだよね。
「目瞑ってすれば?」
「できるわけないじゃん」
「そうか?簡単だろ」
ああもう考えたくない。
他人事だと思ってケラケラしてる。
昔からそんなだよね?
大変なことが起きても、1人だけ飄々としてさ?
いつも笑って、頼りなくて、そのくせバカで。
これからのことについてを話してたけど、埒があかなかった。
だからとりあえず寝ることにした。
テレビはずっとつけておいた。
祐輔が見たいって言うから。
次の日から、私たちは病院の中をぶらぶらした。
おじさんがお金を渡してくれてて、売店でジュースでも買おうと思った。
やっぱ我慢できない。
トイレには行きたくない。
けど、何か口に入れないと…
看護婦さんは昨日のやつを返してくれたけど、まだ怒ってた。
祐輔は相変わらずだ。
周りが気づいてないのをいいことに、何度もスカートの中を覗こうとしてた。
ほんとにサイテー。
止めようとはしたんだ。
黙って見過ごすわけにはいかないから。
「ほんとにいい加減にして!」
「冗談だろ?」
「冗談になってない!」
祐輔とのいざこざは何日も続いた。
あー言えばこう言うし、すぐにいたずらしようとするし。
することがない時は、オセロとかトランプをした。
一人で盛り上がってるように見えたみたいで、看護婦さんはすごく気味悪がってた。
ジェンガをした時は、途中でわけわかんなくなった。
祐輔は指示するだけで、私一人が引っ張ったり押したりしてるんだもん。
お見舞いにくる友達との会話。
つまらないバラエティ番組。
ニュースでは進展があった。
電車がぶつかったのは、隕石じゃなかったって。
人工衛星みたいな機械が、空から降ってきたらしい。
今は調査中みたいだ。
専門家の人たちとかが。
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