第16話
「1時間100円な?」
「なにが?」
「なにがじゃなくて、レンタル料」
「だから、好きで入ってるんじゃないんだって!」
「でも入ってることは事実だろ?」
「…うっ、それはそうだけど…」
1時間100円って安くない?
私だったら、自分の体を100円で貸したりなんかしないよ。
一万円でも無理。
…てか、むしろ払って欲しいくらいなんだけど
何が嬉しくてあんたの体なんかに…
「お前の体は?」
「集中治療室…」
「集中治療室ぅ!?」
あんたもあそこに入ってたけどね?
私の体に比べたら、だいぶマシみたいだが。
「大丈夫なん?」
「…いや、あんまり」
「ふーん…」
人のこと心配してる場合?
あんたは早く自分の体に戻ったら?
私だって早く帰りたいんだ。
ここ数日、色々不憫だったんだから。
祐輔が言うには、目が覚めた時にはこの病院にいたらしい。
今日の朝くらいに気が付いたっぽい。
周りが自分の存在に気づいていないこと、壁をすり抜けられる問題、あと、お腹が空かないとか、…諸々。
自分が「幽霊かもしれない」っていうことを、彼なりに感じていた。
最初は信じられなかったみたいだ。
まさか、体から魂が抜けてるなんて…
「ずっと見てたぞ?」
「え?」
「誰が俺の体を取ってるんだって思ったら、まさかお前だとは…」
ずっと見てた…って、え?
ずっといたってこと?
ここに?
「うん」
「変態!」
「それを言うならお前だろ?」
「は!?なんで私が?」
「俺の体をいじくり回しやがって」
「いじくってないけど!」
「ほう…。あんなとこまで触っておいてか?」
…ちょ…、違う違う違う!!
触りたくて触ってない!
完全に不可抗力だから!
というか、あんたのせいでしょ??
自分の体くらい自分で面倒みたら??
「じゃあ返せよ」
「返したいわ!今すぐ!」
ほんと言いがかりはやめてほしい…
むしろ感謝してほしいくらいなんだけど?
ここまで面倒見てくれてありがとうございますって、今すぐに土下座しろよ。
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