第12話


 …うーん



 病室で色々考える。


 この数日は最悪だった。


 何が最悪って、汗かいたからシャワーを浴びたり、服を着替えようと思ったんだけど、アイツの体になってるって言うことが、…まず




 ほんとに最悪だった。


 いっそシャワーなんか浴びなくてもいいやと思った。


 でも、そういう問題じゃなくなったんだ。



 …そう


 ……トイレに


 ……行きたくなって…



 卒倒するかと思った。


 最初に“アレ”を見た時に。



 まず、どうやってするのかもわからなかった。


 触りたくもなかった。



 …いやいやいや、思い出すだけでも最悪なんだけど、とりあえず人生で一番ショッキングな出来事が、この数日の間にあったんだ。


 結局、シャワーも浴びたけど…




 できることなら記憶を消したい。


 先生は、徐々に頭痛も無くなってくるでしょうと言ってくれるけど、いっそこのまま何もかも忘れたい。


 私がなにしたって言うの?


 なんでこんな思いをしなきゃなんないんだろうか。


 女子トイレに入って怒られるし、かといって男子トイレに入りたくもなかったし、ほんとに大変だった。


 母さんは、私の話を聞いてもくれなくて…




 私も悪いんだけどね?


 うまく話せないというか、「祐輔」じゃなくて「三夏」だよって、どの顔が言ってんだよって話なわけで。


 一応言ってみたんだ。


 意識が頭の中にあるって。


 でも、元気づけようとしてくれてありがとうって言われて、何も言えなくなってしまった。


 母さんはすごいショックを受けてて、まともに会話もできない状態だった。


 「私」の体は、かなりの重傷を負っているらしい。


 いつ容体が悪化してもおかしくないみたいで、当分の間、集中治療室からは出てこれない。


 実際にこの目で見たけど、…たしかに酷かった。


 外傷はもちろんなんだけど、複数骨折もしてるらしく、肺にも水が入ってるとかって…

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