危険な香り
では次のコーナーも張り切って参りましょう!
DJナオキの背筋が凍る話ーー!
怖い話がドシドシ送られてきているのでまだまだストックがたくさんあります。正直に言って全てご紹介できないのが心苦しいくらいです。
なので少しでも多くの話を紹介できるように今回から巻きで、DJナオキちょっと早口でお話しさせていただきます。
……早口の怖い話って、本当に怖いですかね?
では早速ーーと、言いたいところですが、その前に番組側からお知らせ、と言うより注意があります。
これまで怖い話を採用させてもらった方には、番組特製ステッカーをプレゼントさせてもらっているのですが、そのうち何件かが届かないと言う問題が発生しています。
その原因といたしまして、お便りに併記していただいたご住所が間違っていて、リスナー様のご住所ではない。別の方が住んでらっしゃった。そもそも存在しない住所だった。などがあります。
住所の書き間違いか、お引越しなどで住んでいる場所が変わったなどの可能性が考えられますので、ご住所を書かれる際はお間違いがないかよく確認した上でお便りを送っていただきますよう、よろしくお願いします。
現在こちらが把握している、ステッカーがまだ届いていないリスナー様を発表します。
えー、肩を押す子供の霊の話を送ってくれた、実家定食様。
河原でのバーベキュー中に何かに足を引っ張られた、僕ドザエモン様。
深夜の高速でブレーキが反応しなくなった、頭文字K様。
オンボロアパートに住む夢遊病の、モンゴドロイド様。
心霊スポット探索中に迷子になった、さまよう甲冑様。
以上の方には再度ステッカーを送らせていただきたいと思いますので、番組に現在お住まいになられているご住所を、間違いがないよう送ってください。
特製ステッカー、夏限定のホラー仕様ですからね。手に入れておいて損はありませんよ!
では、今度こそお便り読んでいきたいと思います。
ラジオネーム焼き鳥軍曹さんからのお便りです。
ナオキさんこんにちは。背筋が凍る話をいつも楽しみにさせてもらっています。
私もホラーが大好きなので、できれば夏限定の企画ではなく、レギュラーのコーナーになって欲しいんですが流石にそれは厳しいでしょうか?
さて、私が遭遇した怖い体験ついて話していきたいと思います。
私はこの春に転職しまして、この町の出版社に勤めることになりました。
出版社といっても、雑居ビルの3階を間借りしているような小さな出版社なのですが、かねてからこの業界に憧れていた私にとっては天国のような職場。
覚えることは多く、先輩に叱られながも充実した毎日。ここで働けることが本当に幸せでした。
ただ、一つだけ気になることがありました。
それは匂いです。
職場、というより雑居ビルに入るだけで異臭を感じていました。
その匂いは、例えるならば何かが燃えて焦げたような匂いで、不快に感じるほどではないのですが匂いの元がわからず困惑していました。
しかも、その匂いを感じているは私だけで、他の人に聞いてもそんな匂いはしないと言うのです。
別に私は特別鼻がいいわけではありません。ですが、私だけがその異臭を感じていたのです。
ある日のことです。
いつも通り働いていると、あの匂いが急に強くなりました。
これまでにないほど強烈な匂い。その匂いに困惑していると突如、ベルが鳴り響いたのです。
そのベルは、ビルに設置された火災警報器です。
職場のみんな、急いで逃げ出しましたが、下につながる階段からはすでに火の手が登っていて降りることができませんでした。
……あれ? ちょっと待ってください!? この町の出版社がある雑居ビルの火事って、ニュースになってたあの火事ですか!?
被害がめちゃくちゃ大きくて全国ニュースにもなったあの火事?
うわっ、僕今すごい話聞いてる。鳥肌立ってきた。
……すみません、続き読ませていただきます。
非常階段を使おうとしたのですが、普段使う機会がないせいで壊れた椅子や設備なんかがおいてあるせいで使えませんでいた。
火の手はとうとう私たちの職場にまで登ってきました。
真っ赤に燃える炎。
黒い煙がモクモク上がり、息が苦しくなってきました。
目の前で同僚が火に捕まり、絶叫を上げました。
そしてその瞬間、私は気づきました。
私が今まで感じていた異臭。この雑居ビルに蔓延していた匂いは、この匂いだったのです。
理屈は分かりませんが、私はこのビルで火災が起きることを、匂いを通して予知していたんです。
…………すみません、ちょと、言葉が見つかんないです。
まさかこのラジオでこんなに壮絶な話が出るとは、想像していませんでした。
えっと、焼き鳥軍曹さんは怪我とかありませんでした? 無事だったからこうやってお便り送ることができたんですよね?
うわ……まじか。
ちょっと、これは……ん? いや待ってください。
確かニュースじゃ、ビルの中にいた人は全員亡くなったってーー
これにて終了です。
DJナオキの背筋の凍る話 ツネキチ @tsunekiti
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます