死にたがりの病

 では、本日もこのコーナー行ってみましょう!

 

 DJナオキの背筋の凍る話ー!!


 はい。前回の放送から始まったこのコーナー、かなりの反響があったみたいです。


 やっぱり皆さん怖い話好きみたいですね。


 僕? 僕も好きですよ。前も言った通り霊感はありませんが。


 いや、霊感がないからこそこういった話に惹かれるのかもしれませんね。怖い話って、僕にとっては未知の存在ですから。


 では早速、最初のお便り読んでいきたいと思います。


 ラジオネーム、モンゴドロイドさんからのお便りです。


 ナオキさん、こんばんは。いつもラジオ楽しく聴かせてもらっています。


 私自身怖い話が大好きで、いつもテレビやネットで怖い話を集めては、一人でゾクゾクしています。


 そんな私に起きた怪奇現象を、今回書かせていただきました。


 私が今住んでいるアパートは、築数十年のかなりのオンボロアパートで、壁も床も薄いのか同じアパートに住んでいる人の生活音がよく聞こえます。


 私が住んでいるのは2階なのですが、下の階に住んでいる人に気を使って、歩くときは抜き足差し足忍足で音が響かないように気をつけています。


 でもある時、下の階の人からクレームがありました。夜中の2時ごろ、歩き回っている音がうるさい、と。


 それを聞いて私は不思議に思いました。私は寝るのがかなり早い方で、いつも11時には寝ているからです。


 当然夜中の2時に歩き回ることなんてありません。


 私の隣の部屋の音が響いているのではないか? そう思って確認してみたのですが、あの響き方は間違いなくあなたの部屋だと言われました。


 腑に落ちないながらもその時は、すみません以後気をつけます。と言って終わりました。しかし、それから何度も同様のクレームがその人から入るようになりました。


 正直に言ってその人の気のせいではないか? むしろ私に対する嫌がらせで嘘のクレームを入れているのでは? そう思っていました。


 しかしある日、寝苦しさから目を覚ますと私の首にタオルが巻き付いていたのです。


 そのタオルは髪を乾かすときに使っている長いタオルで、普段は箪笥の中に入れてあるのでそれが寝床にあるなんて絶対にありえません。


 そんなタオルが私の首に、それも少し跡が残るほどの強さで巻き付いていたことに恐怖を覚えました。


 ひょっとすると、私が寝ているときに誰かが部屋に忍び込んでいるのではないか?


 その時はこの現象が怪奇現象だとはこれっぽっちも考えず、何か犯罪に巻き込まれて起きたことだと思っていました。


 そこで私は、友達から借りた赤外線カメラを使って、私が寝た後の部屋の様子を録画してみました。


 よくよく考えれば、私が寝ている時に誰かが部屋に入ってきているのなら、真っ先に警察に相談すべきなのですが、当時の私は自分の手で不審者を突き止めようと躍起になっていました。


 でも翌朝、カメラに写っていたのは不審者ではありませんでした。


 夜2時ごろ、私が完全に寝ている時刻。暗闇の中ゴソゴソと歩き回る影がありました。


 そしてその影は、なんと私自身だったのです。


 その時ほど驚いたことはありません。だって私にそんな記憶はないんですから。


 カメラの中の私は虚な表情のまま部屋の中を歩き回り、箪笥の中から先ほど言ったタオルを取り出しました。


 そして私はそのまま部屋の入り口である扉のドアノブにそのタオルを軽く巻きつけ、垂れ下がった両端を結んで輪っかにするという意味不明な行動をとり、そのまま布団の中に入り寝息を立て始めました。


 一連の行動について私には全く記憶がありません。私自身が、私の身の回りで起きた怪奇現象の正体だったのです。


 こういうのを夢遊病と言うそうで、治療のため私は現在心療内科のお世話になっています。


  

 ……なるほど。夢遊病ですか、こう言ったオカルトの絡まない現実感のある怖い話は新鮮ですね。


 いや、もしかしたらその住んでいるオンボロアパートに幽霊がいて、寝ているモンゴドロイドさんに取り憑いて操っていたのかもしれません。


 古いアパートって結構いるって聞きますからね。


 僕の知り合いにめちゃくちゃ古いアパートに何年も住んでいる人がいるのですが、知り合い曰く、そのアパートのある部屋に住んだ住人はほぼ必ず自殺するらしいんですよ。


 そしてつい最近、またその部屋で首を吊って亡くなった人が……なんて。


 その知り合いは話を盛る癖があるので、話半分以下で聞くのがちょうどいいんですよね。その話も僕を怖がらせようとしてついたデマだと睨んでいます。


 このラジオで紹介する話には、そんなデマはないと信じたいところですね!


 では、モンゴドロイドさんには特製ステッカーをプレゼント!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る