こういう理由

第004話 当主

ノエルの夫、バークロンド伯爵アルバート・リングフォードはバークロンド伯爵家の六代目当主である。28歳で領地を持つ伯爵家の当主というのは普通に考えて異常なほど若い。というよりアルバートが家督を継いだのは25歳の時なのでこれは法定相続人としての最低年齢である。


25歳で爵位を持つ者は絶無というわけではないが、そのほぼ全ては王族であったり父祖がさらに高位の爵位を持っている場合である。そういう人間は爵位はあっても領地経営などしないしできないし、場合によっては領地そのものがない。


ごく常識的に考えれば25歳で家督を相続しなくてはいけない状況なら頼るべき親族は居ないと考えていいだろう。なぜならば爵位とは一人の貴族が複数もっていても構わないので、仮に25歳の若君が頼るべき親族が居るのなら、その親族自身が一時的にでも家督を継承すればよいからである。


しかしバークロンド伯爵家はこういう世間一般の常識と大きくかけ離れた事情があり、それが当主アルバートを激務に追い込んでいるのであった。

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