第7話 クッション
「何って、奇兎が寝るときに使うクッションみたいなものを買いに来た」
「何で?」
「奇兎は固いところで寝てるのに、僕だけベッドに寝てるのはなんか悪い気がして…。あと寝相が悪くて、落ちる防止にもなるかもなって」
他の人には絶対に聞こえない会話をしながら、目的のものが売っていそうな店を探した。そして、店内を歩くこと数分、ありそうな店を見つけた。その店は家具を多く扱っているみたいだ。もしかしたら、クッションもあるかもしれない。
店に入って、ぶらぶらと歩いていると、クッションコーナーを見つけることが出来た。奇兎はそのコーナーに突撃していった。さまざまなクッションが置いてあり、奇兎は目をキラキラとしていた。値段は高いもの物からお手頃価格な物まで幅広くあった。
「流石に高いやつは買えないけどさ、お手頃なやつで好きなやつ選んでいいよ」
数分後、奇兎が一つのクッションを指さして僕を呼んだ。指さしたそれは、白と水色をメインで使ったシンプルなクッションだった。僕はてっきり、もっと色を使ったものを選ぶかと思っていた。
値札を見ると、僕の手持ちで十分に足りそうだ。奇兎が選んだクッションを持ってレジに通し、店を出る。
そのままショッピングモールを出て、家に帰っている時に横に並んで歩いている奇兎に一つ聞いてみる。
「このクッション選んだ理由とかあるの?」
「雷兎と初めて会った時のような色合いしてたから。あの時は地面は白くて、空は曇ってたけど、これいいなぁって」
はにかみながら答えている奇兎はとても可愛かった。
「…っ」
奇兎はあの日の事を覚えててこのクッションを選んだのか。なんだかうれしいな。
その日の夜、寝る前に買ったクッションを取り出し、それを奇兎に渡す。奇兎は渡されたクッションを机に置いた。クッションは派手さが少なくこの部屋によく合っていた。
「うん、いい感じ!」
「そうだね。これなら安心して寝れると思うな」
「早くこの上で寝たいなぁ。もう寝ていい?」
「もう!?まぁ、別に構わないけど」
僕がそう言ったときには奇兎は宝石に変わりかけていた。どれだけ楽しみにしていたのかがよく分かった瞬間だった。
クッションとそこに転がった奇兎の宝石は見ていてとても映えていた。綺麗だと思った。少しの間眺めていると、だんだんと眠くなってきた。
僕はあくびをしながら、僕もベッドに入り、寝ることにした。
(今日は楽しかったなぁ)
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