第3話 この子、何者…?

二人で学校に登校したけれど、奇兎の言った通り、姿は見えていないらしい。その光景に少なからず驚いていると、奇兎が雷兎に向かってドヤ顔を向けてきた。恐れ入りました。

教室に着いて、時計を見たらあと五分かそこらで遅刻ラインだった。

奇兎は隣に居るのだけれど、クラスメイトはそれに気づくことはなく。

授業中は注意通りおとなしくしていて、教室のロッカーにもたれかかったり、雷兎の側に来て授業を聞いていたりしていた。


放課後になり、奇兎と一緒に家に帰った。


家に帰る少し前にこんな質問を投げていた。


「奇兎の姿って、僕の親にも見えてないの?」

「見えないよ~。私が見えるのは雷兎以外いませーん!」


…だそうだ。

これなら心配はしなくて良いだろう。だけど、ひょんなことで他の人にも見えるようになったら大変なことになる。

玄関を開け、今に入ると、テーブルに置手紙が置いてあった。


『今日、帰りが遅くなるからよろしくね』

以上。


だけど、この状況は良い機会かもしれない。これを機に奇兎に色々聞きたいことがある。

置手紙を見た奇兎がこっちを見て。


「雷兎のお母さん、今日遅いの?」

「そうだね…。けど、ちょうどいいから奇兎のこと聞いても良いかな?」

「いいよ~」


かなり、あっさりとしているな。まだ、雷兎は季兎の事を完全には信用できないでいる。何せ、奇兎には謎が多い。


「あっ、もう一個言い忘れてた。私と話している間はその会話は他の人には聞こえてないよ。だから安心してね~」


(なんだって…?)

また唐突なカミングアウト。

それも、奇兎と会話中はそれを他の人には聞かれないなんて…。そんな馬鹿な。異世界とかじゃあるまいし。

どういう原理なんだ…??


「なんか難しい顔してるね」

「そりゃあ、あんなこと言われたし、どういう原理なのかなって…」

「あー、簡単に言えば、会話している時は私たちの周りに不思議は力が働いて音が漏れないようになっているの。でも、外の音はちゃんと聞こえるよ」


頭痛がしてきた。本当に奇兎は何者…??

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る