第18話 魔力枯渇はヤバい

魔力枯渇はヤバい

期末試験が近づいていて、執筆の時間がなかなか取れていないので、暫くの間投稿頻度が遅くなるかもしれません。

 ストーリーがガタガタだったので構図を見直したりもしておりますので、忘れられていた男子もこれからは積極的に活動させていく予定です。


 


***********************




 一頻ひとしきり泣いて、一頻り笑った俺は、自分がこの世界に来てから体を洗ってないことに気づいた。


「体洗ってくるよ。それが終わったら、これからの話し合いをしたいんだけど.......」


 と言うと、


「分かった、待っとく」

「.......また今度」

「.........望むところだよ」


 なんか橋津と松下の距離が縮まってる気が.........。くすぐりあってたけど、何かあったのかな?


 ――――不思議だ。

 俺が人を殺したことに変わりは無いのに、皆の言葉だけでここまで気持ちが楽になるなんて......。

 早とちりせずに、相談しとけば悩まずにこのままで居られたのかな、と思うと、恥ずかしさが込み上げてくる。




 なんて考えていると、川の下流に着いた。

 皆に川の下流で体を洗ってもらった理由は簡単で、上流の水は料理や飲み物として使うつもりだったから。

 流石に上流で体を流すのは、普通に嫌だからな。


「っ、冷たくて、気持ちいいな」


 久々に体を綺麗にするからか、汗だくだったからか、熱く火照っている体を川の水で洗い流すのはすっごい気持ちよかった。

 シャンプー欲しいなぁぁぁ.........。

 俺が思ってるってことは、女子はもっと思ってるはずだ.........。

 なるべく早く、日本に戻れたらいいんだけど.......。


 いざ体を拭こうと、タオルを作ろうとした時だった。

 体から力が抜け、ぐらっ、と体が傾くのを感じた。


 まずい、頭から倒れる...。


 そんな俺を支えてくれたのはどこからともなく現れた山野だった。

 見守っててくれたんだろうか。

「大丈夫?」

「.........あっ、ありがとう」


 倒れそうだった自分と、急に現れて助けてくれた山野にびっくりして、声が思うように出なかった。


「やっぱり疲れてるみたいだな、休めよ?」

「確かに。後で休むよ。ありがとう」


 山野が、俺が前に皆に渡したタオルをくれた。

 山野曰く、「洗濯はしといたっぽい、大井が、だけど」


 大井は『家事』っていうスキル持ってるし、洗濯とかは得意なのかもな.........。

 何とか体操服に着替え終わったけど、ふらつく足取りは変わらず、それどころか頭が割れるように痛くなって、そのあまりの痛みに、顔を顰めながらしゃがみこむ。


「.........ひとまず、テントに戻って寝た方がいいな。それでいいよな、碧」

「それが良さそうだな........」


 みんなのいる所まで、肩を組んで連れて行ってくれたのはいいんだけど、そこで困ったことになるのは分かってた。.........うん。分かってたよ。


「柚右!?」

「碧くん!?どうしたの!?」


 橋津と松下の2人が、支えられた俺を見た途端走って駆け寄ってくる。


 俺も返事に困るんだけど.........。

「フラフラして、頭が死ぬほど痛くて思うように歩けなかっただけだよ。少ししたら多分治るって」

 それにしても、原因が分からないと対策のしょうがないんだけどな。

 ひとまずステータスでも見てみるか。何か書いてあるかもしれない。


『ステータス・オープン』



============================

碧 柚右 17歳 男 レベル:31

 

筋力:72(+64)

体力:31 / 80(+50)

耐性:84(+44)

敏捷:56(+94)

魔力:4 / 126(+48)

魔耐:96(+42)


スキル:言語理解(Lv.5)・話術(Lv.4)・序盤支援・料理・暗殺術・抜刀術・短刀適正・使役・縮地(派生:重縮地・天歩)・加速・隠密・隠蔽 

(+ 看破(Lv.6)・狩人の直感・精霊の祝福・概念魔法(刻)・狂乱怒濤・再現魔法(超)・冒険家・魔法適正(中級)・魅惑の所作・家事)

=============================




「.........わお」

 なんじゃこら.........。ステータスの()でプラスされてる数値もそうだけど、サーレが持ってたスキル全部俺が持ってることになってる.........っ!?

 もしかして、「永久的な譲渡」って、そういう事ぉ......。

 なるほど?


 気になるのは体力と魔力の所。

 それぞれ31/130、4/174ってなってるから、魔力枯渇か.........。

 披露度合いが視覚化され、どっと疲れが押し寄せてくる。


「あぁ、何と言うか.........魔力枯渇っぽい」

「魔力枯渇.......魔力が体に無いって事?」

「この世界がどうかは知らんけど、俺が読んでたラノベだと魔力が切れたら死ぬケースもあったし、気をつけないといけないな......」


 って言ってしまったらダメなんだった.........。


 「死ぬ」という言葉に反応し、橋津と松下が俺に詰め寄る。


「死ぬかもしれない?危ない橋を渡った?」

「そうだよ!無茶したってことでしょ!?これからは絶対にやめてよ!?」


「あっ、あぁ.......。気をつける.........」


 2人の圧に押され、渋々だけど頷くしかなかった。


 頭はまだガンガン殴られてるみたいに痛いし、まだふらついてる。

「とりあえず、作戦会議を.........」

 もう夕方だ。作戦会議をさっさと終わらせて寝ようと思ったんだけど.........

「寝る」

「寝なさい!」

「いや、寝ろよ」

「ばっかじゃないの?」

 一ノ瀬にまた馬鹿にされたぞ!?おかしい.....。どこが間違ってるってんだ!?


「作戦会議はよ終わらして早く寝たいんだけど」

「だ〜か〜ら!なんで寝てから作戦会議するのじゃダメなの!!?」

「あっ、おお.....なるほど、でも.........」

「でもじゃないし!碧くんは疲れてるんだから、早く寝て!」


 え、ここに味方は居ないのか.........?

 助けを求めて周りを見渡し、橋津と目が合った。

 橋津......お前は俺の味方だよな.........っ!


 橋津は口を開いて――――

「今すぐ寝る?私と寝る?どっちがいい?」


 即答。

「今すぐ寝ますすいませんでした」


 うそん......俺に味方は居なかったのか.........。

 遅い時間だし、情報共有は早い方がいいと思ったのに......。


 集まってるみんなが、橋津の方を向いて、

「すげ、一発......」

「これが正妻パワーってことか!?くっそ畜生!!」

「これは相手が悪かったな」

「....むむむ.........」


 え、みんな橋津を尊敬してる.........?

 愕然としていると、

「みんな碧くんの敵なわけないじゃん、味方だよ?碧くんが心配なだけなんだよ?」


 ぐぅ.......。そう言われると返せない.........。


「分かった分かった。寝るよ.......」


「うん。おやすみ」

「作戦会議は明日だから、腹が減ってくるまで起きて来なくていいかんな」

「俺らも早く寝ようぜ!猪余ってるよな?とりあえず腹ごしらえだけ.......」

「あれは明日の分!勝手に食べようとしないで!」


 みんなの言い合いの声を名残惜しく思いながら、俺は自分のテントに向かったのだった。



 あぁ......くっそ。頭痛てぇ.........。

 ああ、制服洗濯しないと。

 あと、ステータスについて考える時間も必要だな......。


 えっと、、あとは、..................。




~~~~~~~~~~~~~~~~~




 ふわふわとした意識の中、何か音が聞こえる。


「――」

「――――――――!」

「―――――」


 何を言っているのか。

 誰が言っているのか。

 何も分からない。


 だが――――


 そのが、とても大切な人だった気がして――


 何故か、雰囲気が、すごく懐かしくて―――――







 目が、覚めた。

 まだ辺りは暗いな。夜なのかもしれない。

「夢、か.........」


 頬に手を当てると、涙の跡があった。

 何だか懐かしい夢を見ていた気がする。

 目が覚めた途端に、夢の内容は忘れてしまった。

 それが物凄く恋しい。


 その恋しさを振り払うように、伸びをしようとする。


 だが.......


「.........っっっ!?」


 右腕は伸ばせたのに、左腕は動かない。

 左腕に感じる柔らかさに、嫌な予感を感じつつ、左腕の方を見る。


「すぅ.......すぅ.........」

 うん。松下さんや。何故ここに??

 腕を抜こうとしてみたものの、


「んっ....んぅ」

 はいアウトぉぉぉぉ!!

 松下は俺の左腕をがっちり抱えているみたいで、起こさないと振り解けそうにない.....。

 彼女の胸が腕に当たって、形を歪ませているなんてこと俺は知らないのだ!


 と、更に嫌な予感を感じた。

 冷や汗が流れる。


 そっと、右腕の方を見た。


「.........」

 掛布団代わりにしていたタオルケットの隙間から、橋津がジト目でこちらを窺ってた。

 死ぬほどびびった。いや、察しはついたけど.....。


「えっと、橋津さんや」

「.........」

「何でここにいるんですかねあなたたち2人」

「.........」

「.....無言やめない?」

 話しかけても、ずっとジト目で何かを訴えかけてくるけど、俺には分からないぞ.....?


「ずるい。私のも触って」


 あっ、そっちかぁぁぁぁぁあぁぁ!!

「.........ぇっと..だな、」

 小さな声で喋っているが、声が裏返ってしまった。

「ん」

 俺の空いていた右腕まで、橋津にがっしりとロックされてしまった。

 俺貧乳派(巨乳派)だから刺さる.....。

 やめてくれこれ以上は.........。


 むにゅ。


 押し付けられてる!?

「スゥゥゥ」


 深呼吸だ。

 心の中の賢者さんを呼び覚ませ.......ってぇぇ!!

 更に強く押し付けられてどうしようも無くなった時になって、


「口にキスで、許す」


 笑顔というかドヤ顔というか。

 凄くいい性格してんなマジで.........。


 とはいえ、状況は限りなく悪い。

 最悪と言えるだろう。こんなん修羅場だ。


 橋津は、目をつぶって待っている。

 .......えぇ....するのか.........?

 しなきゃダメだろうか.........。

 嫌いとかそんなんじゃなくて、2人の気持ちに心の準備というか、返事を出せてない状態でこんなことしていいのかなって思ってしまうんだよな.........。


 相変わらず橋津は目をつぶって待っているけど、戸惑って悩んでいる俺に痺れを切らすのがいつかは分からない。


 橋津を本気にさせるとどうなるかは、既に体験済みだ........。


 えっと.....未だに2人の胸の辺りに腕は抱えられたままだし、言うことを聞く他ないか.........。

 ないんだろうか.........。

 寝ぼけてるからなのか偉くあっさり決めてしまったけど、ここまで来て日和ってしまうのはしょうがないじゃん?


 だって童貞だもん。

 あっもう違うんだった.........。

 なんかまだ実感湧かない.....。


「.........」

「い、いくぞ......?」


 俺が顔を寄せ、橋津の唇と俺の唇が重なる――正確には重なるはずの辺りまで顔を近づけたのに、未だに唇に感触はない。


 あ、あれ?騙された?

 日和って閉じてた目を開けてみると、橋津は目を開けて俺が近づく度遠ざかって遊んでいたんだ。

 ニマニマしながら、驚く俺の顔を見ていた。


 なんてこった。恥っず.........。

 今のくだり全部からかってただけ?


 嘘だろ.........。


 体から一気に力が抜けた。

 が、

「まだ?」


 って、あれでもまたやらないといけないんですね!あなたが遠ざかったのに!?

 突っ込みどころが多すぎてどこから突っ込んだらいいのか分からない。


 また近づかないといけないのか!?


 ドキドキなんてもうとっくに通り越してる。

 心臓なんて壊れそうにバックバク鳴ってるし。聞かれたくないなぁ!

 あっ、これフラグかもしんね.........。大丈夫、だよな?


 再び、俺と橋津の顔が近づく。

 また遠ざかられそうだけど.........。


 すると、互いの唇までの距離が5センチを切ったその時、


「じ〜」


 いつの間にか松下も起きて、こっちをジト目で見ていた。

 あ〜今日はこんな暗い時間からジト目ばっかり浴びてる気がするなぁ。


「ず、ずるいよ!ウチも....して欲しい.........」

 目が覚めたのに、未だに俺の左腕をギュッと、いやムギュっと抱きしめながら、そんなことを言い出した.........。


「どっちにする?」

「う、ウチだよねっ!?」


 .........う〜ん。

 これってさ。


 修羅場ってヤツか!?!?!?


「もう知らん!俺は知らんぞぉぉ!!!」


 逃げ出すことにしたっ!

 無理だあんなの!


 2人を振りほどいてテントを出てみると、まだ辺りは暗くて、夜が明けてないことが伺えた。


 2人は追いかけてはこない...みたいだ。


 丁度いいし、昂ってる気持ちを冷ますのも兼ねて魔力操作の練習でもするか、と思った俺は、テントからそう遠くない所に位置する岩で囲まれた狭いスペースに座り込む。



 魔力は、使えば使うほど魔力量が増える、と言うのがテンプレ。

 ならやってみるっきゃない!!


 ステータス・ボードは開いたままにしてみる。

 限界は超えないと魔力量も増えないだろうし、

 前回4まで減ってたから今回は.........1まで?いや、小数点いくまで削ってみるか.........?


 軽い気持ちで始めてみた。


 


============================

碧 柚右 17歳 男 レベル:31

 

筋力:138

体力:105 / 130

耐性:128

敏捷:150

魔力:42 / 174

魔耐:138


スキル:言語理解(Lv.5)・話術(Lv.4)・序盤支援・料理・暗殺術・抜刀術・短刀適正・使役・縮地(派生:重縮地・天歩)・加速・隠密・隠蔽 

(+ 看破(Lv.6)・狩人の直感・精霊の祝福・概念魔法(刻)・狂乱怒濤・再現魔法(超)・冒険家・魔法適正(中級)・魅惑の所作・家事)

=============================

 



 おお...下がってきた.........。

 魔力って、なんか筋肉みたいで自分の体の一部っぽい。

 だからすごく扱いやすいんだけど、その弊害として、


 めっっっちゃくちゃ疲れる。


 なんじゃこれ!?

 全力疾走とか、雄雄我と戦ってる時みたいな体力の消耗の仕方だぞこれ!?


 きっつ.........。


 とりあえず、節目まできた。

 


=======================

 

魔力:4 / 174




 これが前回倒れたのと同じ、残り魔力4。



 ここから更に削って.........っっ!?



 頭がガンガン鳴って、割れそうだ.........っ。

 なんじゃこれ.......し、死ぬ.........。



=======================


魔力:1 / 174

 

 

 これ、で......1.........っ!



 クー〇ッシュの残りを絞り出すイメージで.........。



=======================


魔力:0.0… / 174





 っ――――――――――。

 

 


 

 

 

    ◇




 目が覚めた。

 もう朝みたいだ。

 

 魔力操作は.........って、


 なんか変な感覚がするな......と思ったら、俺の股間の辺りにに2人がいるのが分かった。


 ここからの展開は俺にも予想が出来た。...出来てしまった.........。



「無茶しないって言ったよね?ね?」

「また、倒れてた。だから、捕まえとく」



 こういう事に奥手そうに見える松下も、俺に怒ってるからかスイッチが入ってるみたいで、たどたどしい手つきではあるものの、それで十分だったんだ。十分過ぎるんだよ。

 俺、童貞だぞ?あ、元だった。


 

 


 イヤァァァァァァァァァ!!!


 朝っぱらから俺は心の中で悲鳴をあげる。


 これで、俺は1つ、学んだぞ。



 ――魔力枯渇は、ヤバい。


 色々と。うん。色々と!




 

 ――――朝っぱらから、俺は2人に蹂躙された。









***********************


 勉強しないといけない為に、執筆は大体夜になりがちなのですが、朝起きて見てみると、誤字、脱字の嵐。

 後はスマホで執筆してるからか、文章中にシメジの変な顔文字があったりしました.........。

 そんなこんなで、とりあえずテスト終わるまではなかなか出せそうにないです.........。すみません.........。

 これからも頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る