第87話
アレンとアリアはいつものように素振りをしていた。
しばらくするとクスもやって来る。
「どうだった?」
「暴走した馬鹿達は追放するって」
「それって野放しにするってこと?」
「いいえ。闇組織に処理は任せるそうよ。あの頭目ならうまくやってくれるわ」
闇組織がどういった処罰をするのかはわからないがそれなら安心だろう。
「そんなことよりアレンに手取り足取り教わりたいわね」
そう言ってクスは意味ありげな発言をしてくる。
「アレンは渡さないからね」
アリアはクスを牽制するように言う。
「わかってるわよ」
「クスの相手は僕がするから修練に戻ろう」
アリアは納得していないようだが道主が戻ってくるまでに少しでも腕をあげてほしい。
クスの素振りを見てコツや修正箇所を伝える。
体では理解していても言葉にするのは難しい。
他人に教えるのは勉強になるのだとわかった。
昼頃まで素振りをして休憩にはいる。
先輩の1人が荷物を持ってやってきた。
「これ頼まれてた荷物だ」
「ありがとう」
クスはそう言って荷物を受け取る。
アレンは気になって聞いてみる。
「それは?」
「不足してた薬草とかね。私の本職はあくまで薬師だからね」
「他に必要な物はあるか?」
「人手があるなら小屋の近くで薬草の採取をお願い」
「わかった。やっておく」
そう言って先輩は門から出ていった。
「私は薬を作らないといけないから戻るわね」
「わかった」
アレンとアリアは夕暮れまで素振りをして過ごした。
予定では道主達がそろそろ戻ってくるはずだ。
思えば色々なことがあったような気がする。
「アレン。そろそろ戻りましょう」
「うん」
母屋の井戸へと向かい2人で水を浴びる。
体を拭いて母屋に戻るといい匂いがした。
どうやらクスが夕飯を作ってくれていたようだ。
「クス。任せちゃってごめん」
「いいのよ。居候だからこれぐらいしないとね」
夕飯は野菜スープにパンだった。
野菜スープは香草を使っているのか少し癖がある。
だが嫌いな味ではなかった。
「味はどうかしら?」
「美味しいよ」
「口にあったようでよかったわ」
夕食も食べ終わりアレンは食器洗いをしている。
クスはそれを眺めながら提案してくる。
「2人共時間はあるかしら?」
「あるけどどうしたの?」
「簡単な手伝いをお願いしようと思ってね」
「興味があったからこちらからお願いしたいぐらいだよ」
剣術を習う上で怪我は付き物だ。
薬の知識はあって困るようなことはないだろう。
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