第4話:完全無欠の人工生命体。

「神童くんは、私の部屋へ・・・」


「櫻井さん、安羅あらは大丈夫なんですよね」


「あの子の治癒能力を過小評価しちゃいけないわよ、神童くん」

「これから君は、あの子にもっと驚かされることになるはずだからね・・・」


僕は櫻井さんに部屋で安羅について、アヴェルアンジェという生命体に

ついて聞かされた。


「分かってるのはゾハールって星からベリアルと言う悪魔が地球にやって

来るってこと・・・」


なぜベリアルが地球にやってきて破壊の限りをつくすのか?


どうやら、それは80年ほど昔にあったこの地球上での世界大戦が多に

関わっているみたいだった。

過去において人類はまた過ちを犯してしまったんだ。

その戦争は僕が生まれるよりずっと昔の出来事。


なんでそんな昔の出来事とベリアルがやって来ることと関係があるんだろう

って思った。


それはゾハールの星の人たちの怒りを買ってるんじゃないかってこと。


人類は間違った選択をして、人々が殺し合い殺戮の限りを尽くし地球、

果ては宇宙の秩序まで乱した。

あってはならいことと、地球に罰を与えるためと、それが理由らしいけど・・・

なんでそんな情報をこのBSQが知ってるのか?


たしかに戦争はよくないって僕も思うけど、なんでよその星のやつらが

地球を攻撃して来るんだよ・・・関係ないだろって僕は思った。


ベリアルが地球に現れるようになってから、しばらくしてメイジって星から、

日本の政府にメッセージが届いたことでゾハールの企みが発覚したんだそうだ。


ゾハールに対して他の惑星に干渉するなって警告を送ったが、ゾハールは

聞く耳を持たず、今でも地球を攻撃しているんだって・・・。


そこでメイジからベリアルに対抗するため2種類の生命体の細胞を送って来た

らしい。

ひとつはアヴェルって悪魔の細胞。

もうひとつはアンジェって天使の細胞。


「悪魔と天使ってそんなの伝承の中の架空の存在でしょ?、櫻井さん」


「いいえ、悪魔とか天使はこの地球上では伝承の中だけの存在だけど、実際もともとは他の惑星から来た異星人らしいわね」

「地球では悪魔とか天使とかって呼ばれてるだけで・・・」


「その事実もメイジが教えてくれたのよ」

「だから悪魔も天使もこの広い宇宙に現実に存在する種族なの・・・」


「そしてその悪魔の細胞と天使の細胞で生まれたのが安羅・・・つまり

アヴェルアンジェね」

「しかも安羅の中には式神施設長の娘さんの細胞、遺伝子も入ってるの」


「え?そうなんですか?」


「でもなんでそんなこと?」


「式神施設長の娘さんは幼いころお亡くなりになってるの・・・そして細胞だけ

残された」

「式神施設長はいずれ娘さんのクローンを作るつもりでいたようね」

「人工生命体を作るには人の遺伝子が必要だったため、娘さんの細胞を提供した

と言うこと・・・」


「神童くん君が思いを寄せる安羅は、高度な遺伝子工学によって生み出された

人工生物(生物兵器)なのよ」

「安羅は、アヴェルアンジェは、さまざまな生物の遺伝子情報が入っている

完全無欠の存在」

「すべてゾハールのベリアルに対抗してのものなの・・・」


「そうだったんですね・・・でも思いを寄せるって・・・」


「そうじゃないの?安羅のことをすごく気にしてくれてるみたいだけど?」


「同級生としてです・・・それだけです」


「そう・・・まいいわ」


安羅は人から生まれたんじゃないんだ・・・人工生物?


「え?そのメイジって星の人たちは、そこまでしておいて何もしてくれない

んですか?」


「そうね・・・彼らは動かないみたいね」

「自分たちの地球は自分たちで守りなさってことなんでしょうね」

「そのための最低の援助はするってことらしいわよ」


「どっちにしてもザハールもメイジも勝手ですよ」

「そんな逆恨みみたいなことで安羅は戦ってるんだ・・・彼女は可哀想だよ」

「安羅が可哀想だ・・・」


すべての罪と傲慢の犠牲を自分の背中に背負って安羅は戦ってるんだ・・・。

僕にはベリアルと戦う君の姿を見て分かるんだ。

安羅・・・君は・・・きっと苦しくて悲しいんだ・・・嘆いてるんだ。


だけどベリアルを見ると体が自然と反応しちゃうんだよね。

止めることできないんだよね・・・安羅。


「そうね・・・今は、無理かもしれないけど、いつか安羅にも平和で

穏やかな生活をおくれる時が来るといいわね・・・私もそう願うわ 」


「櫻井さん、僕は心から笑う安羅の笑顔が見たいです・・・悲しみと嘆きの中で

表情さえ失って、ただ戦うだけのために生きてるなんて・・・」

「可哀想すぎます 」


「やっぱり神童君は安羅のことが好きなんだ・・・」


「・・・好きです・・・安羅を幸せにしてあげたい」

「彼女をいつかエデンの園に連れて行ってあげたいです」


「そうね・・・でもちゃんと現実も受け止めてね、神童君」

「君にはこれから安羅のそばにいて心のケアをお願いするわ」

「それも彼女の個人育成のコミュニケーションのひとつ・・・ それも安羅に

関わった君の宿命、運命だと思って・・・神童くん」


「僕なんかでいいんですか?」


「もちろん君のことは調べさせてもらったわ」

「その上でお願いしてるの」

「君なら、あの子のいい話相手になってくれそうだし」


それがベリアルが地球にやってる来る理由と安羅が必要だと言う存在理由。


僕は、この世界が平和を取り戻すまで、ずっと安羅のそばにいる。

そのために、好きになった人のために、たとえ僕の命を犠牲にしてでも

君を守るって誓うよ。


つづく。

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