第27話 我々は何も見なかった! 王都のマルコさん
王都カーベランスの南門広場。
そこでラーミはマルクの姿をみて、お腹を押さえては笑うのを我慢していた。
「ラーミ、いっその事声を出して笑ってくれたほうが助かる」
「では、失礼してくっくっぷ」
マルクの今の格好は、長い黒髪のカツラをかぶった女装した男になっている。マルクならぬマルコさんの誕生だ。
さらに高身長であるマルクの姿は異様に目立ち周りの人間はマルクを見ては凝視するか顔背けるかの二択である。
「ラーミのほうは、案外似合っているな……」
「どうせ胸なんてないですからね」
「そういう意味ではない」
褒めたつもりが、ちょっと不機嫌になったラーミの格好はというと。赤い髪をこちらも黒髪のカツラで隠した男装したラーミである。背格好から田舎から出てきた新米冒険者と似合っている。
南にの詰め所にいた門兵達が取った行動といえば。
最終的に『見なかった作戦に変わった』マルクもラーミも南門からは入場してない、入場していたとしても変装していたので気づかなった。そういう提案に変わったのだ。
「で、まずは冒険者ギルドだな。こんな格好知り合いには見られたくないな」
「ですね」
二人は歩き出そうとして「マルクさん!」「ラーミちゃん!?」と呼び止められた。
振り向くと金髪の青年とそれに負けない美人の女性。冒険者ランクCのトーマとミイナだ。
「…………人違いだ」
「ぷっ……では、私も人違いですので」
マルクのラーミが動き出そうとすると、トーマのハーレムパーティー複数人に囲まれた。これ以上逃げる事も出来ないし諦めてトーマの顔を見た。
「
「その僕達はギルドマスターのお願いで二人を探していて、とりあえず目立つから僕達が借りてる家にいこうか」
トーマ達に囲まれて王都の中を歩く、マグナの街の5倍ぐらい人が多く中央に見える城がとても立派で、観光客なら足を止めてしまうだろう。
「まるで祭りのようだな」
「王都では数ヶ月に1回は闘技大会がありますからね、冒険者ランクを上げるのに手っ取り早いらしいですよ。落ち着いたらマルクさんも出ますか?」
ラーミの提案の後にトーマが歩きながら二人に話す。
「優勝しても賞金は少ないですからね、そのかわり優勝した時に俺は海賊王になる! とか、好きな人に告白する。とかそういうのがあるみたいです。僕らが来る前に行われた大会で優勝した人が告白してましたけど、見事振られと話題になっていました」
「俺は出ない、怪我はしたくないからな」
実力が上がった。とおもってもCランクである。世の中には自分よりも強い人間がいるのはラーミを見れば一目瞭然だ。
「マルクさんが出れば面白いと思うんですけどねー」
「ラーミは出たいのか?」
マルクが聞くとラーミは珍しく即答はせずに何かを考えているようだ。その間にトーマ達の借り宿についたらしく話は終わる。
3階部分を全部借りていて中々の羽振りである。
その中で一番大きな部屋に入るとマルクもラーミもカツラを取った。
部屋の中にはハーレムパーティーからトーマ、ミイナ、アケミ。
マルクパーティーからは2人だけである。
「ずいぶんと人数が少ないようだが」
「ナッチとフォーミンは一緒にいるけど、他の3人はマグナの街だよ、孤児院も応援したいし、大人数で行くには目立つからね」
「で。私達を探していたというのは何でしょう?」
ラーミが訪ねるとトーマの代わりに先にアケミが話し出す。
「二人がさマグナの街から出ていった後にお貴族様の部下が乗り込んできてね。ギルドマスターのフィがもしかしたら2人は王都に着いたら捕まるかもって、だから先に行って助けてやってくれないか? ってお願い」
「僕達はそのお願いで人数を最小限にして馬車でじゃなくて馬できたんだけど何日待っても追いつく所がマルクさん達がいないんだ」
「すまない……色々と道が分かれていて遅くなったようだ」
(やはり途中の温泉で三泊はやりすぎたか、その後の訓練でさらに二日かかっている)
トーマが慌てて手をふって逆に謝罪をしてきた。
「いや僕達も門の外で待っていたりもしたんだけどね。それよりも冒険者ギルドマスターのラックさんだったかな、僕らも事情を話しに来たんだけど現在は留守らしい。何でも国外に帝国領で呼ばれているとかで現在の代理がなんとサンフラ・マリュ・クロ宰相との事。遠眼で見た感じ」
「蛇みたいなやつだったわね」
トーマ達の説明で部屋の中が沈黙になった。
「手詰まりか」
「どうしましょうかねぇ……」
「ギルマス、もちろんマグナの街のほうのね。遺言状をどっちも破棄したらいい。という提案もあったのだけど」
王都にいるギルドマスター代理がサンフラ宰相ではまず無理だろう。
「もてる女は困りましたね……わかりました。その宰相を〇しましょう」
ラーミが簡単に言うので全員がラーミを信じられないような眼で見る。
「ラーミ!? それは少しやりすぎでは」
「やばいわね」
「僕もその案は少し行き過ぎてるというか……」
「あの、私が本当に〇すと思ってるのですか?」
マルク以外が頷くとマルクがラーミの目を見て話し出す。
「何が案があるのか?」
「はい、私が出向いて二度と逆らわないように痛めつければいいのです。以前私に絡んで来た貴族はみんなそうしてきました」
「だめだろう」
マルクの即答にラーミは一気に肩を落とす。
「いや、そこまで落ち込まないでくれ。相手は宰相らしい、ラーミの噂も聞いているはずだ、にもかからずラーミと結婚と言うのが引っかかる」
「確かにラーミちゃんの正体知ったら結婚所じゃないわよね」
「よっぽどのロリコン……いや、マゾか」
「あの、私を化物か何かと勘違いしてません? そこまで注目されるような事は……最近はしてません。というかですよ、大抵の場合その私の名前は表に出ないんですよねぇ……」
「僕達も
ラーミの呆れる声にマルクは立ち上がった。
「なるほど。注目か納得か」
「…………マルクさん?」
「トーマ。次の大会は何時だろう」
「5日後からですね」
「やっぱりマルクさん出るんですか」
マルクはラーミを見ては任せろ。と笑みを浮かべた。
「俺が優勝し、いや、優勝しなくてもいい。少し上に上がれば注目をされるだろう。そしてこの状態を訴えればいい……いや、俺だけでは万が一がある。トーマ協力してくれないか?」
「僕達はかまいませんけど」
「マルクさん」
トーマ達の承諾が得た後にラーミがマルクを呼ぶ。
「なんだ?」
「マルクさんと私は変装して街に入りましたけどマルコさんで出場するんです?」
マルクは自分が出ようにも女装して出ないといけないのを思い出した。
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