第120話 能力鑑定と魔力量


「はい、それじゃあ今日は能力鑑定をやっていきますね……」



 入学式の翌日。いよいよ今日から授業! と言いたいところだけど、今日はステータス登録と魔力測定をやるらしい。

先生の説明によると、授業の一部は選択制になっていて、中には魔法を習得したり、従魔や使い魔がいないと取れない授業や、ステータスが一定のランクまで成長していないと参加できない実習があるとのことだった。

その為、最初に自分のステータスを確認して、今の段階で受けられる授業、受けられない授業を把握しておく必要があるのだ。



「そういえば、入学前に提出した年齢証明のやつ以外で鑑定とかするの久々かも」



 俺はすーくんが入っているカバンを横目で見ながら、魔石洞窟で魔法や魔道具が使えなかったときの事を思い出していた。

あれからなんとなくそういったものをあまり使わないで生活していた気がする。魔力や道具に頼りすぎるのもね、やっぱ己の力が大事っていうか。



「既に使い魔がいる生徒は、今回実施するステータス鑑定の証明書を提出して従魔登録、または使い魔登録をすることで、学園内での召還、常駐が可能になります。また、使い魔関連の授業に参加する方もこの登録が必要です」



「登録しないと召喚出来ないんですかー?」



「その場合は外部から侵入した魔物と扱われ討伐される可能性があります」



「…………」



 まあ、未登録の魔物が学園内をウロウロしてたら普通に危険だと思うよね。キャンディだったら生徒のフリしてれば意外と誤魔化せたり……無理か。



「……シュータは登録するの?」



「うーん、俺の使い魔はちょっと特殊だからなあ。登録できるのかな」



「なんだ、シュータは使い魔いんのか……」



「うん。キャンディっていうんだ」



 昨日の入学式から何だかんだでギロくんと仲良くなって、今日も俺、アクリ、ギロくんの3人で行動している。



「……キャンディ様はすごい使い魔」



「そうなのか……さすが実技最優秀」



「ギロくんだってそうじゃん」



「オレは使い魔いないからな……アクリは?」



「……キャンディ様の使い魔になりたい」



「何言ってんだコイツ……」



 __ __



「はい、お疲れ様……次はシュータ君だね……」



「はい!」



「これは“慧眼の腕輪”という、ステータス鑑定の上位ランク魔道具でね……通常の能力鑑定に加えて、魔力量の測定も可能なのさ」



「良いやつだ」



「良いやつだね」



 机に右腕を乗せ、腕輪を付けてしばらくそのままにする。なんか血圧測ってるみたいだな。



「ほうほうほう……ボウズ、その年にしてはかなりの能力を持っておるのお」



「うわっ腕輪がしゃべった!」



「良いやつなんでね……喋ったりもするのさ」



 そうなんだ。



「むむ、ボウズの使い魔はヴァンパイアじゃな……年恰好は幼い出で立ちをしておるが、実際はバ」



「ねえちょっと怒られるって。いいからはやく鑑定結果出してよ」



「ほいほい」



 ほいほいじゃないよまったく。全然良いやつじゃないじゃん。



「ほれ、結果じゃ」



【シュータ・ブラックボーン】

・12才・男

・所持金:1320000エル

・HP:S+

・MP:S

・パワー:SS

・ガード:A+

・マジックパワー:A+

・マジックガード:A+

・スピード:B+

・スキル:毒無効、味覚補整+、魔素吸収(極)、夜間物理攻撃無効、雷無効、凍結無効、絶縁破壊、魔人化、魔石生成(NEW!)

・装備適性:ナックル(A+)

・装備中:果報のチョーカー、瞬足ラビットの革靴、ベアキングプロテクター、インドラナックル

・魔法適性:雷魔法、光魔法

・習得魔法:サンダーボール(極)、サンダースラッグ(極)、ファミリアゲイト

・使い魔:ライトニング・ヴァンパイア



「おおー、やっぱ結構成長してる……あれ? MPってなんだ? あっこれが魔力測定のやつ?」



 体力のHPの下にMPという項目が追加されている。これが魔力量のランクなのかな?



「お、魔法適性も見れるようになってる……光と雷か。これは前の面接の時に確認したやつだね……ん? 魔石生成?」



 なんか新しいスキル覚えてる。魔石生成ってなんだ? 魔石作れるの? 俺が?



「石が出来ると背中の脇に激痛が走るでのお。ボウズも水分しっかり取るんじゃぞ。葉野菜は茹でて食うんじゃ。あと小便も我慢すると良くないぞい」



「えっ魔石生成ってそんなヤバイの!?」



 スキルってか、もはや病気じゃん……あんまり魔素抜きしてないやつを食べるのは良くないのかも……



「いや今のは尿路結石の症状と対策ですねえ……私もそろそろ気を付けないと」



「なんだ本当の病気の話か。魔石生成について教えてよ」



「自分で魔石を生成できるんじゃ」



「うんうん、それで?」



「終わりじゃ。いかがでしたかのお」



「いかがでしたかじゃないよ。ちょっと情報少なすぎるんだけど」



 カルヴァド先生も知らないスキルだったみたいで、詳しいことは結局分からず。

とりあえず今は気にしないことにした。使わなければ良いんだもんね。



「……勝手に発動したら嫌だなあ」



まあでも、しばらくは魔石とか変なものを食べるのはやめておこう……。

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