第101話 VS 巨大ダンゴムシ(昨日のやつ)
実技試験、魔石洞窟2日目。
「ぐー……すぴー……Zzz」
むしゃむしゃ……
「ん~?……うるさいなあ……Zzz」
バキッガリッ……
「ん~…………んっ!?」
「にょ~ん」
むしゃむしゃっ! バキバキバキっ!
「あーっ!!」
起きたらにょんきちに昨日集めた魔石をほとんど食われていた。
「せっかく頑張って採ったのに~!!」
「にょいん」
「にょいんじゃないよまったくも~!!」
残った魔石も俺の朝ごはんにするから実施ゼロじゃん!
……。
…………。
カン、カン……
「ふう、今の時間は……大体お昼すぎくらいかな」
光陰の魔石の白い部分、その真ん中辺りがぼんやりと光っている。ちょうど試験が始まって1日が経った頃だ。
昨夜は夜間物理攻撃無効スキルのお陰で、洞窟の中でも結構安心して眠れた気がする。魔法攻撃はここじゃあ出来ないしね。
「とはいえ、明日の昼までには洞窟を出て先生の所へ戻らないと。それまでになんとか高品質の魔石を大量ゲットしたいんだけど……」
正直、この広場にある魔石が良い品質なのかがわからないのがちょっと厳しいな。こんなとき、すーくんが使えればなあ。
「いけないいけない、魔道具に頼ってばっかじゃダメなんだよな、きっと。できるだけ自分の目で見て良さそうな魔石を集めないと」
事前に魔石関係の本でも読んでおけばもっと色々分かったのかもしれない。
前世にいたときはお金も無いし、ゲームも持ってなかったからよく図書館に行って本を読み漁っていた。
「こっちの世界に来てからは、毎日色々あって、本を読むことが少なくなっちゃったからなあ。あと本って高いし。図書館とかも無いし」
今は小学校にも行ってないしね。学園に受かったら、もっと色々冒険者に役立つような勉強をしよう。
カン、カン……ガン!
「ギギィ……!」
「……ん? あっコイツ! 昨日のダンゴムシ!」
魔石だと思ってカンカンやってたのが、昨日、この広場に来るまでの通路の入り口を塞いでいた巨大なダンゴムシの魔物だった。
「ギギギ……!」
「うわっ!」
ゴロゴロゴロ!! っと勢いを付けて転がってくる巨大ダンゴムシ。昨日に引き続きちょっかいをかけてしまい、どうやらかなり怒ってるみたいだ。
「にょー?」
「あっにょんきち危ない!」
ダンゴムシが進路を変えてにょんきちの方へ転がっていく。
「にょっ」
「ギィッ!」
ガゴンッ!
「にょ、にょんきちー!!」
だ、大丈夫かな……身体を甲羅に引っ込めてたみたいだけど、その上をダンゴムシが踏みつぶして転がっていったみたいだ。
…………。
「にょん」
「にょんきち……!!」
にょんきちは甲羅からひょこっと頭を出し、俺の採った魔石を食べ始めた。どうやらあの甲羅はかなり頑丈のようだ。それはそれとして魔石は食べないでよ。
「ギギーッ!!」
またこちらに向かってゴロゴロと転がってくるダンゴムシ。あの勢いのまま抑えるのはかなり危険そうだ。
「って、あー!! 魔石が!!」
ダンゴムシと俺の間に俺が採った魔石がいくつか落ちている。高品質が期待できそうなかなり大きいやつなんだけど、このまままだとダンゴムシに踏みつぶされて粉々になってしまう。
「にょっ!!」
「にょ、にょんきち……?」
にょんきちが再び甲羅に身体を引っ込める。しかし、今度はそれだけではなかった。
シュババババ……!!
「にょんきちの足が……ロケットみたいになってる!?」
なんと、足を引っ込めた甲羅の隙間から、ロケットのエンジンブースターみたいな炎が噴射して、にょんきちが空中に浮かび上がったのだ。
そして、そのまま猛スピードで直進し、こっちに転がって来るダンゴムシの真横に突っ込んでいった。
「ギ、ギギィ……」
さすがのダンゴムシもこれにはたまらず、スピードを落としてグラグラと目を回している。
「今だっ!! スーパーウルトラシュータパーンチ!!」
「ゴギッ!?」
バッキィィィンン!!
「更に~!! ハイパーミラクルシュータキーック!!」
ゴッキィィィィンン!!
「ゴギガ……ッ!!」
…………。
しばらくダンゴムシの身体のおなか側(?)から打撃を繰り返すと、ダンゴムシはひっくり返って完全に動かなくなった。
てかスーパーウルトラシュータパンチはちょっと技名的にダサすぎるな、うん。
「にょん」
シュボボボボ……と炎をロケット噴射しながらにょんきちが飛んでくる。
「ふう……俺たちの勝利!!」
ダンゴムシはスタッフ……じゃなくて俺たち二人で美味しくいただきました。
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