第82話 †いにしえの力†【ステ確】
「キャンディ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「ん、なんじゃ? 遠慮せずなんでも聞くと良いのじゃ」
俺が元気になったのを確認したシルクが教会のお勉めに行き、茶々丸くんは里の長老に報告するため宿を留守にしている。
キャンディと二人きりになった俺は、先ほど獲得したスキルについて、彼女に聞いてみることにした。
「とりあえず俺のステータスをみてもらうか……すーくん、ステータスの鑑定結果を表示してくれる?」
(はーい)
【シュータ・ブラックボーン】
・11才・男
・所持金:330000エル
・HP:A+
・パワー:S+
・ガード:B+
・マジックパワー:A+
・マジックガード:B+
・スピード:B
・スキル:毒無効、味覚補整+、魔素吸収(極)、夜間物理攻撃無効、雷無効、凍結無効、絶縁破壊、魔人化(NEW!)
・装備適性:ナックル(B)
・装備中:果報のチョーカー、瞬足ラビットの革靴
・習得魔法:サンダーボール(極)、サンダースラッグ(極)、ファミリアゲイト(NEW!)
・使い魔:ライトニング・ヴァンパイア
すーくんの画面をキャンディに見せる。そこにはやはり、スキル:魔人化が追加されていた。やっぱ聞き間違いじゃなかったんだな。
「ほら、この新しく獲得したスキルなんだけど……」
「な、なんじゃと! シュータ、お主……」
「そうなんだよ、魔人」
「“ファミリアゲイト”を覚えておるではないか!」
「そう、ファミチキください……え、ファミ、なんて?」
「ファミリアゲイトじゃ!」
ファミリアゲイト? そんなスキル……あ、魔法か! なんか追加されてる! てか地味に魔素吸収も極みマークがついてるじゃん。魔素熱暴走治しながら鍛えてたってこと?
(ファミリアゲイト。契約している使い魔を召還する為の扉を開きます)
「使い魔の召還魔法?」
「そうじゃ! これでいつでも拙者と会えるぞ!」
いや最近は結構会ってる気がするけど。
「わ、わかった、ファミリアゲイトについてはまた今度試してみるよ。それよりほら、このスキルなんだけど……」
「むう、シュータももっと喜ばんか……えーと、スキルじゃったか? なになに、魔人化……ほーん魔人化のう……なぬ!? ま、魔人化じゃと!?」
「そうだよ魔人化! めっちゃすごくない!?」
「聞いたことないのう」
「ズコーッ!!」
いや知らないんかい。
「む、拙者だって知らないことはあるんじゃ。大魔樹にでも聞いてみれば何か分かるかもしれんが……」
「うーん、冒険者学校の試験もあるから、すぐには行けないなあ」
しばらくこのスキルは使わないでおこうかな。なんか反動ありそうだし。
「すーくんは何か知ってたりする?」
(魔人化は、一時的に魔人相当の能力を得ることが出来るスキルです)
いや知ってるんかい。
「ぐぬ、拙者の知識が魔道具に負けたのじゃ……」
「まあまあ、キャンディもまだまだ若いってことで」
「うむ、そうじゃな! 拙者もまだまだ未熟な若造じゃな! シュータは良い事を言うの!」
まあ見た目だけなら俺より年下っぽいし。
「それにしても、一時的とはいえ魔人相当の力が使えるとは……相当強力なスキルじゃの」
「そうなの? でも、魔人って人間族との戦いで負けたんでしょ?」
「元々数が少なかった魔人は、常に多勢に無勢を強いられておってな。人間族100人に対し魔人族2、3人で互角だったようじゃ」
「え、めっちゃ強いじゃん」
しかも直接的な敗因は、高濃度の魔素が含まれるデビルズフードの副作用で滅びに向かったところが多い……と伝聞されているらしい。
「じゃあ魔人化を使えば、俺もめちゃつよになれるのか」
一時的にでも強くなれれば、冒険者学校の入学試験が対人戦とか魔物討伐になってもなんとかなりそうだ。
(魔人化の際には大量の魔力を消費します。また、場合によっては魔人化の副作用で正気を失います)
「…………」
「シュータ、これはちと、今すぐには使わない方が良い気がするんじゃが」
「そうだね。もうちょっと詳しい情報が分かるまで封印しておこうかな」
まあ、今のところどうしても魔人化しないといけないような状況にはなってないし……
ドタドタッ! バァン!
「た、大変なのだ!!」
「あれ、茶々丸くん? 慌ててどうし……」
「里が魔物に襲われてるのだ!!」
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