第74話 お悩み相談をしてみよう!
~前回のあらすじ~
タフタさんに連れられ、大魔樹グランデ様に会いに行ったらまさかのラジオ配信中!
どうやらスパドリっていう栄養ドリンクを渡すと質問やお悩みに答えてくれるみたい。せっかくだから何か聞いてみようかな?
「はぁ~い☆ それじゃあここからは現地グラリスのみんなのお悩みを聞いていくわよん」
バサッバサッ
「クエックェ!」
「あらん? 丸呑み太郎くんじゃなぁ~い! スパドリありがとねん☆」
グランデに巨大なニワトリが近づき、口にくわえていたポーション瓶を渡してなにか話しかけている。
「あ、アイツって……」
「トルネードチキンねぇ。昨日食べちゃった子のお仲間かしら?」
だとしたらめちゃくちゃ気まずいじゃん。
「えーと、なになに……? 昨日から友達が行方不明で見つかってません。ちょっと悲しいです……あらぁそれは辛いわねん。それじゃあその子を探して欲しいっていうお悩みかしらん?」
「や、やっぱり……」
「クエックェ」
「ふむふむ……あ、それはもうどうでもよくて? ザルティス湖のヘビ野郎を丸呑みする方法が知りたい?」
「ええ……」
「あらあら」
トルネードチキンの思考回路が謎過ぎる。食い意地の張り方が尋常じゃないぞ。
「あの食に対する貪欲さは見習わないと……」
「シュータくん?」
「あ、いやなんでもないよ」
「ザルティス湖のヘビちゃんを丸呑みねぇ~、とりあえずあのヘビちゃんよりでっかくならないと無理ねん☆ 今のままだと逆に丸呑みされちゃうわよん」
「ク、クエ……」
まあそうだよなあ。この丸吞み太郎っていうトルネードチキンもかなりデカいけど、ザルティス湖のヌシはこんなもんじゃなかったからな。
「はい、それじゃあ次のかたいるかしらん~?」
「ほら、シュータくんいってらっしゃいな」
「あ、うん」
俺はタフタさんから受け取ったスーパー若返り栄養ドリンク、通称スパドリを持って大魔樹グランデに近づいていく。
「こ、こんにちは……」
「あらあら、随分と可愛らしいグラリスちゃんが来てくれたわねん☆」
「俺、シュータっていうんだ。今日初めてグランデさんの話を聞きに来たんだけど」
「あら~初見さんいらっしゃい☆ シュータくんね? ヨ・ロ・シ・クねん☆」
すごい。木なのにウインクできるんだ。
「ちょっと悩みをきいてほしくて。これ、どうぞ」
「あらっこれ、普通のより若返り効果が高い“赤スパドリ”じゃない! 初見で赤スパとか、アナタやるわねん」
あ、赤スパ? たしかに俺がタフタさんから受け取ったポーション液、なんだか他のやつと違って色が赤かったけど……
「うふふ。シュータくんの魔力は良質すぎて、普通に調合しても高品質になっちゃうのよねぇ」
「素敵な送り物をありがとねん☆ それじゃあシュータくんのお悩み聞かせてくれるかしらん?」
「えっと、冒険者学校の入学試験を受けるために色々勉強してるんだけど、どんな試験内容か分からないから、どれだけ勉強しても不安なんだ。どうしたら自信が付くかな?」
「なるほどなるほど、お勉強頑張ってて偉いわねん。そういえば前にウチのダンジョンで試験をやっていたことがあったわねん」
まあ、こんなこと相談したところで気合いでなんとかしろーっとか言われそうなんだけど……
「くよくよ悩んでる時間があるならその分勉強しろ! って言いたいところだけど……赤スパ頂いちゃったから、特別に良い物をあげるのねん☆」
「やっぱそうだよねー……って、え? いいもの?」
グランデはそう言うと、まるで手足のように枝先を俺の所まで伸ばして、なにやらエメラルドグリーンの結晶が入った小瓶を手渡した。
「それはアタシの樹液と魔素を凝縮して作った結晶よん。お守り代わりに持ってると良いわ」
「綺麗……飴みたいだね」
これもキャンディの飴みたいな感じで食えるのかな?
「アナタも丸吞み太郎くん並みの食欲ねん……人間族の子が食べたら死んじゃうわよん?」
あ、そうか。魔素が凝縮されてるんだっけ。じゃあ……俺は食えるな。
「シュータくん、お勉強がんばるのよん☆」
「うん、ありがとうグランデ様!」
……。
…………。
「ハ~イ☆ それじゃあ本日のぐらっとラヂオ☆ はここまでよん! 聴いてくれたグラリスのみんな、ありがとねん~☆ それじゃあおつグラ~☆」
「おつグラ~☆」
大魔樹グランデのぐらっとラヂオ☆、なかなか面白かった。いつか通信魔法を覚えて、シルク達にも紹介しようかな。
「あれ、そういえばタフタさんはお悩み相談しなくて良かったの?」
「うふふ、わたしは大丈夫よ。現地住み限定のメンバーシップ入ってるからいつでも聞けるの」
「そうなんだ」
よくわかんないけど、まあいいや。
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