第54話 デビルズフードと新スキル【ステ確】



「な、なんで能力上がったんだ……?」



 (シュータはスキル:凍結耐性を獲得しました)



「と、凍結耐性? なんで?」



 いきなり能力が上がったり、耐性スキルを獲得したり。一体、俺は何を食べたんだ?



 (シュータが先ほど摂取したのはデビルズフードの試作品003・氷です。)



「えっ!? デビルズフード!?」



 (鑑定結果を表示します)



 【試作品003・氷】

魔素が凝縮された卵型のデビルズフード。HP全回復、マジックパワー及びマジックガード上昇S。

竜人族により製造方法が秘匿されている。003・氷は、氷結竜の民に認められた者以外が食べた場合、高確率で全身が凍りつく。



「3番……」



 まさかのデビルズフード2つ目だった。



「フロランタ、さっきのタマゴってデビルズフードだったんだね」



「デビルズフード? なんだそれは」



 フロランタは知らないのか。



「普通の人間が食べると凍るらしいよ」



「こ、凍るのか!? シュータは大丈夫か!?」



「俺は多分大丈夫っぽい」



「よ、よかった……」



 本当に何も知らないらしい。とりあえず俺を凍らせるつもりで食べさせたわけではないようだ。良かった。

きゅーたろうは……いや、アイツも何も知らないでくれてたと思う。うん。



「す、すまない。まさかそんな代物だと思わなかった。族長がシュータにならあげても良いと言っていたから」



 フロランタが落ち込んで涙目になっている。本当に良かれと思って持ってきてくれたのだろう。優しい子だ。



「いや全然大丈夫だって! めっちゃ美味しかったから、良かったら明日も持ってきてよ」



「そ、そうか。うん。えへへ……」



 それにしても、きゅーたろうといいフロランタといい、どこからデビルズフードを手に入れてくるのだろう?

竜人族の集落では今も作られているのかな? フロランタは何か知ってそうだけど、秘密っぽいし……。



「まあいいか、美味しければなんでも」



 俺は深く考えるのを諦めた。



 __ __



 雷鳴渓谷に来て、というか連れてこられてから数日が経った。

ここでの生活も慣れてきて、さっちゃんや他のドラゴンと遊んだり、フロランタと一緒に修行をしたりして過ごしていた。落雷に打たれる修行とか。みんなはマネしないでね。

あとさっちゃんを高い高いして打ち上げてたら、他のドラゴンにもせがまれたり。いや無理だよ。



「そろそろメシの時間かな~」



 フロランタが毎日料理を作ってくれるので、大満足の食生活だ。デザートにあのデビルズフードも食べているので、能力の成長も早まっている気がする。

毎回あれをくれるとき、相変わらずフロランタが恥ずかしがるんだよな。うーむ、どうやって作ってるんだろう。



「あっそうだ。久しぶりにステータスでも見ておこうかな。すーくん、鑑定お願い」



 (りょ)



 りょってなんだよ。



 (鑑定完了、結果を表示します)



 【シュータ・ブラックボーン】

・11才・男

・所持金:275000エル

・HP:C+

・パワー:S

・ガード:C+

・マジックパワー:B

・マジックガード:C

・スピード:C+

・スキル:毒無効、味覚補整+、魔素吸収+、夜間物理攻撃無効、雷無効、凍結無効、絶縁破壊(NEW!)

・装備適性:ナックル(C+)

・装備中:果報のチョーカー、瞬足ラビットの革靴

・習得魔法:サンダーボール+、サンダースラッグ+

・使い魔:ライトニング・ヴァンパイア



「おおーパワーがSランクになってる!」



 他の能力もかなり成長している。まあ、ドラゴンと遊んでるっていっても、ほぼ戦闘みたいなもんだしな。ライオンがじゃれついてくるみたいな……。



「あ、凍結耐性が無効になってる。あとは……ん? 装備中の項目が出てきた……魔撃ナックルが表示されてないな」



 今はカバンに仕舞ってるから装備判定になってないのかもしれない。今まで何も装備してなかった時は項目が非表示になってたのか。



「まあ、そこはいいや、それよりも……」



 なんと、ここにきて新しいスキルを覚えた。その名も「絶縁破壊」。名前かっこよすぎるぜ……。



「電撃貫通スキルか……いや、これかなり強いんじゃない?」



 すーくんの説明によると、電気を通さない絶縁体物質とかいうやつを貫通して破壊し、相手に大きなダメージを与えられる、ということだ。ちょっと難しい……



「でもあれか、じめんタイプにでんきが効くってことだもんな。めっちゃ良いな」



 これでポケ〇ンマスターも夢じゃないな。



「シュータ、メシだぞー」



「やったー!フロランタの料理大好き!」



「そ、そうかっ! さあ、いっぱい食べてくれ!」



「ぎゃお!」



「さっちゃんはさっきサンダーボール食べたでしょ」



「ぎゃ!?」



 雷鳴渓谷は今日も平和だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る