第52話 竜人族の少女(身長250cm)
サンダー・ドラゴンに連れられてやってきたのは、彼らの住処である、雷鳴渓谷。俺はそこで1人の女の子と出会った。
「ボクは竜人族のフロランタ」
「竜人族……」
キャンディが言ってた、魔人の血を引く者たち……。
「人間族、オマエ名前は?」
「あ、えーと、俺はシュータ、11才! えっと、フロランたん?」
「フロランタだ。ボクは14才」
「14才!? ……フロランタ、身長何センチ?」
一目見たときから気になってたことを質問する。正直、背中の翼とかしっぽよりも気になってた。
「センチってなんだ?」
「うーん、説明が難しい」
そう、この子めっちゃ背が高いのだ。サッカーゴールくらいある。バスケットゴールだっけ? ちなみに俺の身長は150cmくらい。俺より1メートル位でかいかも……
「……竜人族の中じゃ、ボクは小さいほうだ。もっとでかくなりたい」
「いやあ、もう十分だと思うけど……」
「シュータ、ボクよりでっかくなるか?」
「絶対ならない自信しかない」
「そうか! なら良いぞ」
何が良いんだろう。
「ところでシュータ、人間族が何故ここにいる」
「あ、えーと、それはね……」
__ __
「なるほど、ドラゴンの子供と一緒に運ばれたのか」
「そうなんだ。さっちゃんもカバンから出てこないから、帰ろうにも帰れないし」
フロランタに、さっちゃんと出会ってからの事を説明する。
「シュータを連れてきたドラゴンは、その子の母だ。タマゴを抱えて飛行しているときにその子が生まれてしまったのだ」
やっぱりお母さんだったのか。
「なんでタマゴなんか抱えて空飛んでんのさ」
「ギャオー、ギャギャ」
「ふむふむ、気分転換だ、って言ってる」
そっか。じゃあしょうがないか。お母さんは大変だ。俺の母ちゃんは気付いたら勝手にいなくなってたけど。
「って、フロランタはドラゴンの言葉が分かるの?」
「竜人族だからな!」
エッヘン! と胸を張るフロランタ。うーん、俺の視線がフロランタの腰くらいなので、上を向かれると顔が全然見えない。
「竜人族は、住処は違えど、ドラゴンと共存共栄の関係だ。ボクも修行のため、今はこの渓谷で暮らしている」
フロランタ達の集落は、この雷鳴渓谷よりも更に奥地にあるらしい。
そこでは集落の掟として、12才から15才の間、この雷鳴渓谷でドラゴン達と一緒に暮らして、ドラゴンと意思疎通が出来るように修行するとのこと。
「ドラゴンは、ボクに戦い方も教えてくれる。修行して、立派な竜人族になるんだ」
「今は修行編ってことか! すっげー! フロランタ、かっけーな!」
「そうか、かっけーか! シュータ、見る目があるな!」
それからフロランタは、周りのドラゴン達に俺のことを、子供のドラゴンを助けた恩人として紹介してくれた。
「この子供は、生まれて初めて見たのが母ドラゴンじゃなくてシュータだったのかもしれない」
「マジか」
確かに、空中で生まれてそのまま森に落下したんだもんな。あ、だから怪我してたのか。
「俺の事を親だと思ってるってこと?」
「それはわからない。エサでもあげたか?」
「……あげた」
「それだ」
それかー。
「でも、どうやって? サンダー・ドラゴンの幼体は、雷しか食べないはず」
「それは、こうやって……サンダーボール」
「ぎゃお!」
いつも通りサンダーボールを出すと、さっちゃんがカバンから出てきてパクパクと食べ始める。
「ギャウ!?」
「ギャ!」
「シュータ、雷出せるのか! すごい! みんなもすごいすごいと言っている!」
「え、そう? えへへ」
ドラゴンに褒められちゃった。確かにサンダー・ドラゴンにとっては、ごはんを出せるってことだもんな。
「ボクのも! ボクの魔法も見てくれ!」
「ん、魔法?」
「アイシクルエッジ!!」
バシュッ!!
「うわっ!」
フロランタの手のひらから大きな氷の矢が飛び出し、前方の木に突き刺さる。
パキ……。
「えっ、木が……凍ってる」
氷の矢が突き刺さった木は、あっという間に凍ってしまった。
「す、すげー!!」
「ふっふーん! すごいだろ!」
「それって氷魔法? なんで使えるの? 氷って雷と関係ないよね」
「ん? ボクはサンダー・ドラゴンのとこで修行してるが、同じ系統の竜人族じゃないぞ」
「えっ、そうなの?」
ここにいるってことは、てっきり雷系の竜人族なのかと思ってた。
「ボクはブリザード・ドラゴンの血を引く竜人族、氷結竜の民だ」
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