第48話 ファットモンキーの電撃焼き



「さてと、この倒したやつはどうしようかなー」



 襲い掛かってきたファットモンキーたちは、1匹は木にめり込み、1匹は電撃を食らって倒れている。



 ぐぅぅぅ……お腹なっちゃった。



「……こいつらって食えるのかな?」



 まあ俺は多分食えなくても食えるんだけど(?)



 (ファットモンキーは可食部も多く、食用に適しています)



「なるほど。よし食おう」



「ぎゃ?」



「さっちゃんも食べる?」



「ぎゃん」



 さっちゃんは首を振って俺の手をガジガジしてくる。



「君は肉より電気だったね」



 サンダーボールを出してあげると、さっちゃんは美味しそうに食べ始めた。何回みても不思議な光景だ。



 ぐぅぅぅ……



「魔法使ったら余計にお腹すいてきたぞ」



 さて、このファットモンキーはどうやって食べよう?



「生で食うのはちょっと嫌だなあ……でも火のおこし方なんて知らないし」



 こんなとき、炎系の魔法が使えたらなー。俺の雷魔法じゃ……



「いや、雷、電気……電子レンジじゃん!」



 いや電子レンジじゃないけど。でも、電気でも肉が焼けるんじゃないか?



「サンダーボール!」



「ぎゃ! ばくばく」



「あっちょっ食うな食うな!」



「ぎゃい?」



「これは料理用なの」



「ぎゃん……」



 さっちゃんは育ち盛りの食べ盛りみたいだ。



「じゃあ改めて……サンダーボール!」



 バリバリバリ!



 ファットモンキーにしばらくサンダーボールを撃ち続ける。



 ……。



 …………。



「うーん、こんなもんかな」



 ファットモンキーのサンダーボール焼き、完成!

……正直見た目がズタズタで結構グロい。サバイバル番組の人が食べてそうな感じ。

やっぱたき火とかでじっくり焼いた方が良いなこれは。てか、電気で火起こしできたんじゃないか?



「まあいいや。命に感謝。いただきまーす!」



 もしゃもしゃ。



「うわ! ぺっぺっ! 毛がなんか、モシャっとする……ダメだこれ」



 そのまま焼いたのが良くなかった。毛はちゃんと毟らないとだな。



「よし、毛と皮を取って……ぱく。もぐもぐ……うん! 美味い!」



 豚肉みたいな味がする。やっぱブタザルだったのかもしれない。



「ちょっとピリッとするのはあれか、まだ電気が残ってるのか」



 耐性スキルがなかったら感電してた。危ない危ない。

みんなはサンダーボール焼きをしたら、食べる前に電気を逃がそうね!



「ごちそうさまでした!」



 ……食べ終わってから試してみたんだけど、落ち葉とか集めて小さいサンダーボールを撃ったら火をつけることができた。意外と便利かも。



 __ __



 翌朝。



「ぎゃん!」



 がじがじ。



「さっちゃんおはよう。手噛まないでね」



 森で迷子になって2日目。一晩休んだら元気いっぱいだ。



「よーし、今日こそ脱出するぞ!」



 とはいえ、昨日みたいに適当に歩いてもまた森で夜を明かすことになるだろう。



「せめて木の上から森の外が見えればなー」



 ぱたぱた。



「ぎゃお?」



 さっちゃんは相変わらず低空飛行だし。あ、そうだ。



「さっちゃん、高いたかいしてあげるよ」



「ぎゃ!」



 ぱたぱた。



 よくわかってなさそうだけど、なんか楽しいことかな? って顔でさっちゃんが近づいてくる。

子どもはやっぱ高いたかいが好きだからな。



「じゃあいくよー。高いたかーい」



 ブォン!!



「ぎゃあ!?」



 俺は最大パワーでさっちゃんを真上に放り投げた。お、木のてっぺんより高いとこまでいったみたい。さすがパワーA+。



「ぎゃああああ!!」



 ぽすっ。



「おかえりー。どうだった? ちょっと高すぎたかも」



「……」



 やばい、さすがに怒ったか?



「ぎゃお!」



「え、なに? もう一回?」



 全然大丈夫だった。それからしばらくさっちゃんを打ち上げて遊んだ。



「はあ、はあ……で、さっちゃんどう? 森の出口分かった?」



「ぎゃ?」



 だめだ。ただ楽しんでただけっぽい。



「ちくしょー、俺に翼があれば木の上までひとっ飛びなのに」



 ……いや、てかあれだな。俺、魔獣の森にいたときはよく木に登ってたよな。普通に登ればいいだけじゃん。



 ……。



 …………。



「よいしょっと。いやー普通に登れたわ」



 何だったんだ今までの時間。



「おっ湖発見! 結構近いじゃん!」



 上から見ると、森は縦長になっていた。、どうやら俺たちは縦方向にずっと歩いていたっぽい。



「さっちゃーん! 出口分かったぞー!」



「ぎゃお!」



 よーし、早速湖方面に向かって森を抜けるぞ!



 ぐぅぅぅ。



「……出発する前に朝飯食べよっか」



「ぎゃ!」

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