第24話 完成! ステータス鑑定魔道具【ステ確】



 リフレックスを倒し、ついでにハンバーグ系貴族ボーイも倒した翌日。

解体して取り出したリフレックスの眼球、「魔界の鏡」を手に入れた俺は、

さっそくリッツさんの工房に持って行って、ステータス鑑定魔道具の作成依頼をした。



 で、それから数日後……。



「リッツさーん! 魔道具できたー!?」



「おう、完成したぞい! まったく、毎日毎日様子見に来おって……」



 作成を依頼してから、完成が待ちきれずにいた俺は、毎日リッツさんの工房に顔を出しては催促していた。



「だって早く欲しいじゃん……って、え!? 完成したの!?」



「さっきそう言ったろうが」



 リッツさんからスマートフォンみたいな長方形の黒い石板を受け取る。見た目より意外と軽い。



「これがワシの作った、携帯型能力鑑定器……通称、”スマートステータスチェッカーくん”じゃ!」



「携帯……スマ……? スマッチェくん?」



「なんじゃスマッチェくんって」



「じゃあすーくん」



「もう原型ないじゃろそれ……まあ呼び方はなんでも良いわい。試しに使ってみたらどうじゃ?」



「分かった! えーと、鏡よ鏡、わたしの秘めたる……」



「なんじゃそれ」



「え? なんじゃって、鑑定するために唱える呪文だけど……」



「ステータスの鑑定に呪文なんて必要ないじゃろ」



「そうなの?」



 でも教会じゃあ……



「シルク……アイツ、もしかして……」



 そういえば教会のステータス確認はシルクの鑑定スキルだし、別に俺が呪文とか言わなくても出来そうな気がする。



「それっぽく見せるために言わせてたのか!?」



 あれ結構恥ずかしかったんだけど。あとで問い詰め……聞いてみよう。



「それじゃあ、これはどうやって使うの?」



 すーくんは電源の入ってないスマホみたいに真っ暗だ。



「まずは、その魔道具にステータスの鑑定をするよう呼び掛けてみるんじゃ」



「なるほど。えーと、ヘイすーくん! ステータス鑑定して?」



「なんかチャラいの」



 ブゥン……



「わっ画面が光った!」



 (ハジメマシテ。利用者登録ヲ実施シマス。名前ヲ教エテクダサイ)



「えっなに!? 誰の声!?」



 誰かに耳元というか、頭の中に直接話しかけられたような無機質な声が聞こえ、

声と同じ内容の文章がすーくんの画面に浮かび上がる。



「うむ、テレパス機能は正常に動いておるようじゃの。ワシには聞こえんが」



 この声は利用者である俺にしか聞こえないらしい。天の声ってやつだ。



 (ウマイ、美味スギル……)



「それは十万石ま〇じゅうだよ」



 風が語りかけてくるやつじゃん。なんで知ってんだよ。



「えーと、すーくん初めまして。俺の名前は黒保根修汰だよ」



 (登録完了デス。ヨロシク、シュータ・ブラックボーン)



「だからなんでだよ!」



 教会のときもそうだったけど、何故か俺の苗字、黒保根がブラックボーンに変換されてしまう。



「まあいいけどさ。それですーくん、ステータスの鑑定をお願いできる?」



 (承知デス。鑑定ヲ始メマス。)



 ……。



 …………。



 (結果、出マシタ。)



 【シュータ・ブラックボーン】

・11才・男

・所持金:1240000エル

・HP:D+

・パワー:A+

・ガード:D+

・マジックパワー:E

・マジックガード:E

・スピード:D

・スキル:毒耐性+、味覚補整+、魔素吸収+、夜間物理攻撃無効(New!)

・装備適性:ナックル(C)



 教会の鏡と同じように、俺のステータス情報がすーくんに表示される。



「おお……! すごい! ちゃんと表示されてる!」



 リフレックスと戦って、少しステータスが上がったみたいだ。



「ん? このNewってやつは……」



「前回鑑定したときから新しく手に入れたスキルじゃのう。おや、これは……」



「夜間物理攻撃無効?」



 まるでリフレックスの耐久みたいな効果だ。



「これはリフレックスを倒した時に低確率で手に入るスキルの1つじゃ。持ってる奴を見たのはワシも初めてじゃぞ」



 リッツさんによると、夜間魔法攻撃無効というスキルもあるらしい。



「これって、夜は物理攻撃が効かなくなるってこと?」



「そうじゃ。日が暮れている間は、物理技のダメージは勝手に弾かれるぞい」



 そういえば、デミグラ君と決闘したとき、剣の攻撃を勝手に弾いた気がする。これの効果だったんだ。



「すーくんも完成して、レアスキルも手に入ったし、がんばってリフレックス倒して良かった~!」



「一応、すーくんの画面表示に不備がないか、教会でステータス鑑定をやって比べてくると良いぞ」



「わかった! リッツさん、本当にありがとう!」



「久々に武器の開発やら、魔道具の作成やら出来て楽しかったわい。何か欲しいものがあったらまた来ると良いぞ」



 すーくんを貰い、ウキウキ気分でリッツさんの工房を後にした。






 __ __





 ……これで修汰くんはステータスの鑑定ができるようになったの。

いやー良かった良かったなの。

普通なら大体最初から使える機能なのに、ワタシが設定し忘れ……いやなんでもないの。

お詫びにレアスキルの取得確率をアップさせておいたの。



 なにはともあれ、第1章、完! 修汰くんの転生ライフはこれからだ! って感じなの。



 次章……おや? なにやら教会でがんばっている子がいるみたいなの。

更に新しいダンジョンの情報も……?

修汰くん、彼女の力になってあげると良いことがあるかも! なの!



 ……。



 …………。



「……なんかよくわからん夢を見た気がする。あの子は……神様?」



 どっかで会ったことあるような、ロリババア……。



「あっそうだ、イーツだ! なんかごちゃごちゃ言ってた気が……」



「にゃあ」



「ねこのすけ、おはよー」



 まあ夢だし、気にしててもしょうがないか。



「さて、これからどうしよっかな~」



 リッツさんの言った通り、すーくんが教会の鑑定結果と同じになるか確かめてくるか。



「無駄に恥ずかしい鑑定の呪文みたいなの言わされてた事、シルクに文句付けてやる……」



 こっちがメインの理由だな。うん。

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