第20話 VS 魔獣リフレックス



 前回までのあらすじ……



 レア素材を手に入れる為、魔獣リフレックスの討伐に来たシュータ。

木の上で待ち伏せ作戦を決行するも、森の奥から誰かの叫び声が聞こえ、

魔物に襲われてる人がいるかもしれないので、しょうがなく助けに行くことにした。



「って、誰に説明してるんだ俺は」



 微光ランタンのうっすらとした明かりを頼りに、声が聞こえた方へ向かってしばらく走る。すると……



「うわあああ! く、来るなっ」



「ヴゥ~……」



 カキンッ



「な、なんで効かないんだっ! 魔法剣なのに……ッ!」



 夕方見かけた少年が、まるで岩のように大きな黒い魔物と戦っている。

戦っているっていうか、一方的にあしらわれている感じだけど。



「あ、あの人たち……!」



 少年の近くに護衛の人たちが倒れている。少年を庇ってやられたのだろうか。



「ヴァンッ!」



 ガキンッ!



 あ、少年の剣が魔物にはじかれてどっか飛んでった。



「うわあああ! あっ」



 少年がその場にうずくまる様に倒れる。あ、気絶してる。マジかよ。



「ヴァオウッ!」



 ガシッ!!



「セ、セーフ」



 少年に襲い掛かった魔物を押さえる。そんなに力は強くないな。



「って、この魔物、目が……」



 漆黒の魔物には、うっすらと白く光る大きな目が1つ。



「そうか、お前がリフレックスか……!!」



「ヴゥ……!!」



 リフレックスが後ろに飛んでいったん距離を取ってくる。

夜の森の中でリフレックスの黒い身体は正直見えにくすぎる。

うっすら光る一つ目を頼りに居場所を確認する。



「かかってこい! 眼球よこせ!」



「ヴァオオオオン!!」



「あっちょっと待って……ちくしょっ!」



 バゴンッ! カキンッ!



「ヴァオンッ!」



「ナックル装備すんの忘れてたっ!」



 突っ込んできたから迎え撃って素手で殴ったら、攻撃がなんか壁っぽいのに弾かれた。

まったくダメージが入っていないみたいだ。



「やっぱ通常の攻撃は効かないか……」



「ヴゥ……ヴァオオオオ!!」



 あーなんかめっちゃ怒ってるっぽい。やば。



「よし、魔撃ナックル装備完了!」



 リッツさんに作ってもらった、対リフレックス用の武器、魔撃ナックル。暗闇で燃えるように赤く光っている。

パワーがマジックパワーに変換され、身体に魔力が巡っているのが分かる。



「さあ来い! 一つ目野郎!」



「ヴァオオオオオオオ!!」



 怒ったリフレックスがものすごい勢いで突撃してくる。



「くらえ! 必殺ナックルパーンチ!!」



 バギィッ!!



 向かってきたリフレックスの頭を下からアッパーカットでぶん殴る。

昇竜ナックルとかのほうがそれっぽかったかな……。



「ヴァ! ォ……」



 ドシーン……と、リフレックスの巨体が崩れ落ちる。

チェーンソーで切った木が倒れたような衝撃だ。



 ……。



 …………。



「……え、一撃必殺?」



 効果バツグンだった?



「やったあああ!! リフレックス倒したぞ!! 魔撃ナックルすげー!!」



 リフレックスの目は、光を失って沈黙している。傷はついてないみたい。よかった~。



「これが”魔界の鏡”かあ」



 このリフレックスの目、というか眼球が通称「魔界の鏡」。

これを使えばステータス値の鑑定魔道具が作れるというわけだ。



「どうやって取ればいいんだ……?」



 一応、商業ギルドのおっちゃんから魔物の解体方法を簡単に教わったんだけど、

これはレア素材だから失敗はできない。



「うーん、自分で解体するのはやめて、ギルドにお願いしよう」



 解体費用がかかっちゃうけど、眼以外のリフレックスの肉体は買い取ってもらえばいいしね。



「まあそれはさておき、これからどうしようかな……」



 暗闇で方角がわからない森の中、討伐した岩山みたいな魔物、気絶してる成人男性が2人と少年が1人……



「……え、もしかして朝までここに待機?」



 ……。



 …………。



 救急車とか呼べないかな?

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