第18話 完成! 魔撃ナックル



 教会で久々のステータス確認をして、ついでに色々あった後、

俺はリッツさんに開発をお願いしている特殊武器、魔法ナックル(仮)の進捗を確認するため、工房に行くことにした。



「大将~やってる~?」



「おう! やってるぞい~」



 やってるんだ。リッツさんノリいいな。



「リッツさん、ナックルの開発は順調?」



「なんじゃシュータか! ちょうど良いタイミングじゃ。お主に頼まれてた武器が完成したぞい」



「えっマジで!? やったー!」



 これでやっと魔獣リフレックスの討伐に……



「あっ、あーまだダメだぁ」



「なんじゃい」



「さっき教会でステータス見てきたんだけど、マジックパワーがEだったんだ」



 リッツさんに頼んでいた魔法ナックル(仮)は、マジックパワーがD以上ないと装備出来ないはずだ。

というか、装備しても効果が発動しないのでただのナックルになるらしい。



「Dランクになるまで使えないや……」



「ああ、そんなことだろうと思って、お前さんが今すぐ使える武器にしてやったぞ」



「……えっ? ど、どういうこと?」



「今回作ったのはコレじゃ」



 そう言うと、リッツさんは工房の奥から真っ赤に輝くメリケンサックを持ってきた。



「これが対リフレックス用に開発した、通称”魔撃ナックル”じゃ!」



「ま、魔撃ナックル!?」



 魔法ナックルじゃなくて?



「これは元々開発してた魔法ナックルと違って、マジックパワーのステータス値が低くても装備可能なんじゃ」



 リッツさんは開発に成功した喜びからか、テンション上げ気味に武器の説明をしてくれた。



 元々、リフレックスを討伐するために使用されていた魔法剣は、本来パワーに依存する物理攻撃を、

マジックパワーに依存して物理ダメージを与える。

俺は剣の装備適性が無かったから、これのナックルバージョンを作ろうとしていた。



 でも、ナックル適性があるということは、パワーが上がりやすく、マジックパワーは成長が遅い可能性が高い。

そう思ったリッツさんが、新しく開発したのがこの魔撃ナックル。



「この魔撃ナックルは、パワーをマジックパワーに変換して攻撃できるんじゃ」



「……つまり、パワーをマジックパワーとして攻撃できるってこと!?」



「さっきワシそう言ったじゃろ」



 従来の魔法剣みたいな仕組みだと、マジックパワーが高くないとダメージを与えられないけど、

今回作った魔撃ナックルは、パワーの値をそのままマジックパワーとして攻撃できる。



 最終的なダメージの種類としては魔法剣と同じになるってことか?



「む、むずかしい……」



「なあに深く考えんでよい。この魔撃ナックルなら今のシュータにも使えて、リフレックスにも攻撃が通る、ということじゃ」



「な、なるほど!」



 わからんけどわかった。てかリッツさんイチから開発したってこと?天才じゃね?



「まあでも、これでリフレックスの討伐に行けるってことだな!」



「少なくともダメージは与えられるようになったの。というわけで、ほれ」



 リッツさんから魔撃ナックルを受け取って、拳に装着する。



「おお……なんだか力が湧いてくる感じがするぞ」



 今までに感じたことがない、オーラのようなものを纏っている気がする。



「シュータのパワーがマジックパワー、つまり魔力となって循環しているんじゃな」



「そっか、これが魔力……」



 マジックパワーが低くて今まで分からなかった。チャクラみたいだ。

チャクラ使えないけど。昔、忍者のアニメでみた。



「というわけで、この魔撃ナックルはパワーの値が重要になるんじゃが、お主、パワーのステータスは今いくつじゃ?」



「パワーのステータスはAランクだったよ」



「なるほど、Aか。って、A……じゃと……? それは本当か?」



「本当だけど……なんか変だった?」



 そういやシルクも鑑定したとき驚いてたな。なんなんだ。



「いや、まあ、大丈夫じゃ。Aランクなら問題なく武器の力を発揮できるじゃろ」



 というかリフレックスくらいなら1発で……とリッツさんは小声でなにか言ってた。



「リッツさんなんか言った?」



「武器も完成したし、お主に頼まれた能力鑑定の魔道具作成までヒマになったと言ったんじゃ」



 だからさっさとリフレックスを倒して必要な素材を持ってこい、とリッツさんは笑っていた。



「わかった! リッツさんありがとう!」



 俺は魔撃ナックルを大切に仕舞って、工房を後にした。



「リッツさんも待ってるし、さっさと倒しに行くか!」



 次回、VSリフレックス編! お楽しみに!



「にゃあ?」



 誰に言ってんだって顔をしたねこのすけが通り過ぎていった。



「とりあえず今日は休んで、リフレックス戦に備えよう」



 リフレックス、顔を洗って待ってろよ!



「……足だっけ?」



 首でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る