第5話 ぼっち飯 in 魔獣の森



 おっちゃんに教えてもらった魔獣の森に到着した。



「着いたー! ここが魔獣の森かあ」



 この世界には、魔物が生息する山や森、洞窟などの「ダンジョン」が存在する。



 ダンジョンに入って食材やお宝を探したり、魔物を倒して肉や素材を売る人を「冒険者」という。

冒険者を育成する学校もあるらしい。



 ダンジョンの危険度によっては、冒険者ランクが高い人じゃないと入れない所もあるんだとか。

この魔獣の森は誰でも入れるフリーダンジョンになっている、っておっちゃんが教えてくれた。



「でも奥に行くほど強い魔物がいるらしいから、なるべく入り口から遠くに行かないようにしないとな」



 俺、魔物と戦う方法とか知らないし。

前世で空手でも習っとけばよかった。習いに行く金なんてなかったけど。



「お、キノコあった!」



 美味しそうな”真っ赤な”キノコが生えている。採取っと。



「てかめっちゃ生えてるじゃん」



 森の入り口近くだと、もう他の人に採りつくされちゃってるんじゃないかと思ったけど、

この真っ赤なキノコはそこら中に生えていた。



「ん? これはなんだろ……赤いドングリ?」



 地面をよく見ると、大きいドングリみたいな木の実が落ちている。



「一応これも拾っとくか」



 もし売れなくても自分で食えるしな。



 __ __



 しばらくキノコ狩りとドングリ拾いを続けた。



 ぐー……



「腹減った~。よし、メシにしよう!」



 一応、食事中に魔物に襲われないように、木に登ってごはんを食べる。



「今日のメシは~串焼き! の……骨!」



 さっきおっちゃんのとこで買った串焼きは食べちゃったから、前にもらった骨の余りを持ってきた。



「いただきまーす。バリバリ、ゴリゴリ……」



 美味しいけど、ずっと噛んでるとあごが疲れるんだよな。



「さっき採ったキノコとドングリも食ってみようかな」



 たくさんあるし。



「まずはキノコから。ぱくっ、もぐもぐ……んっ!」



 こ、これは……



「結構辛いな! でも美味い!」



 そっか、赤いキノコは辛いんだな(単純)。



「このキノコも串焼きにして肉と食ったら美味そうだな~。おっちゃん作ってくれないかな」



 あ、そうだ。このドングリ(?)も食ってみるか。



「ぱくっ、ガリッ! え、かった!」



 外の殻がクルミみたいに硬かった。

なんとか噛み割ったら、中にナッツみたいな実が入っている。



「こっちを食べるんか。ぱくっ、もぐもぐ……ん!」



 これは……



「うっま!!」



 なんだこの木の実! めっちゃ美味い!



「クリーミーで甘くて、まるで甘栗みたいな……」



 これは良い食後のデザートになりそう。

殻が硬すぎるからがんばって割らないとだけど。



 ガサガサッ



「ん?」



 俺が登ってる木の上のほうから何か音がする。



「な、なんだ……? サルの魔物か?」



 ガサガサッ



「く、来るならこい! 俺はサムライの国出身だぞ!」



 剣道やったことないけど。



 バッ!



「キュウ」



「うわぶっ」



 な、なんか顔に張り付いてきた!



「キュウ」



「んー! ぶはぁっ! な、なんだこれ!」



 顔にくっ付いていた謎の生き物を掴んではがす。



「キュウ……」



「ん、おまえ……モモンガ?」



「キュウ!」



 野生のモモンガ(?) があらわれた!

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