第4話 ステータス確認にもお金がかかる
異世界スラム暮らしを始めて数日。
この生活にも少しだけ慣れてきた。
あれから色々な物を食べてるけど、マジで全然おなか壊さない。
落ちてた腐りかけのフルーツとか、ねこのすけ(しっぽが3本の野良ネコっぽい謎の生き物。名前付けた)が獲ってきた、
菌がヤバそうなネズミとかも美味しく食べられる。
これってやっぱり俺が持ってる能力のおかげなんだろうな。
この前、道端にいた乞食に持ってた食材を少し分けてあげたら、
「馬鹿にしてんのか! こんなもん食えねえだろ!」ってキレられた。
それを見てた周りのスラムのやつにも、敵視されるようになってしまった。
ぼっちざスラムだ。かなしい……一応善意だったんだけどな。
「まあいいや……そういや自分のステータスってどうなってんだろう」
前にすれ違った人たちが、「ステータスがなかなか伸びない」とか、
「強力なスキルがあったら俺も冒険者に……」とか言ってたから、
そういう能力というか、才能みたいなのはあるんだと思う。
昔、友達の家でやったゲームなら、ボタンを押せばステータス画面が見れたけど、ここはゲームの中じゃないし。
「そもそもスキルとかステータスとかどこで確認できるんかな」
頭の中で(ステータス表示~!)とか考えても何も浮かんでこないし。
「……ん?」
足元でキラリと光る何かを見つける。
「あっ100エルコインじゃん! ラッキー」
ここの世界、というか俺が住んでる国のお金の単位は「エル」。
「100エルあれば、串焼きが食えるな。よしっ」
__ __
というわけで、串焼きの屋台までやってきた。
「おっちゃん、串焼き1本ちょーだい」
「坊主、今日は金あんのか?」
「はいこれ」
「まいど」
さっき拾った100エルコインを渡して串焼きを貰う。これでまた所持金ゼロだ。
「あ、そうだおっちゃん」
「……なんだ?」
「自分のスキルっていうか、ステータスっていうか……そういうの確認する方法知ってる?」
「坊主、知らねえのか」
「うん」
おっちゃんは「そうか……」というと、軽く教えてくれた。
「あそこの建物がなにかわかるか?」
おっちゃんが指さした場所には、前世で見た結婚式場みたいな建物がある。
「わかんない」
「あれは教会だ」
「教会」
そうか、そう言われればそんな感じする。結婚式場も教会みたいなもんだし。知らんけど。
「ステータス確認は教会に行けばできる」
「そうなんだ、ありがとうおっちゃん!」
「……ステータス確認には金がかかる。1回1万エルだ」
「そうなんだ……」
金かかるんかい。しかも高けえ。
「1万エルかあ、スラムで拾った素材売ってどんだけ稼げるかなあ」
「坊主、ステータス確認がしたいのか」
「おっちゃん1万エルくれんの!?」
「やるかボケ。自分で稼げ」
だよなー。
「でも俺スラムのガキだし、まともな給料で雇ってくれる店もないし」
たまにねこのすけが獲ってくるバナナの味がする鳥を売ろうと思って市場に持ってったけど、
「毒がある鳥じゃん。いるかそんなん」って言われた。
毒あったんだあの鳥。俺普通に食っちゃってたよ。
「それなら、”魔獣の森”にでも行ってこい」
「魔獣の森?」
おっちゃんによると、スラム街の先にある森は「魔獣の森」というダンジョンで、
そこに生えているキノコや薬草が市場で売れるらしい。
「森の奥まで行かなければそこまで危険はねえ。ウチの料理に使うスパイスもその森で採れたやつだ」
「そこで色々獲って売れば1万エルも稼げる?」
「スラムのゴミ山漁ってるよりは早く稼げるんじゃねえか」
「よっしゃ! ちょっと行ってくる!」
ダンジョン攻略のはじまりだ! 異世界っぽくなってきた!
「坊主」
「んー? なんだー?」
「……日が沈むと森の奥から"魔獣"が出てくる。コイツらは魔物よりケタ違いに強い。出逢わないよう、明るいうちに戻るんだな」
「わ、わかった……」
え、こわ。今日はやめとこうかな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます