第16話 真理、テントハウス訪問し再会を祝う

 そんなある日、真理はあの河川敷に足を向けた。みんな歓迎してくれた。と言っても知っている人は大分減っていた。一人、源さんという老人が見当たらない。なんでも半年前に病気で亡くなったそうだ。ここはまだ厳しい世界は続いているようだ。当時真理が住んでいたテントハウスは別な人が住んでいるようだ。あれから数十年なのに継ぎ足して以前より立派だ。真理は飲みきれないほどの酒と食べ物を持参して来ていた。


「さぁ皆さん、今日は再会を祝って飲みましょう。私は此処で色んな事を学ばせて貰いました。偉そうな事をいうけど困った事があったら私に連絡してね。お金がないから病院に行けないとか言わないで。私がなんとかします。健康であれば何でも出来る。皆さんは仲間だから」

 皆は涙を流して喜んでくれた。あんた俺達の女神だよと手を握って号泣する人もいた。


 真理は数カ月に一度、訪ねて皆に酒を振る舞い御馳走した。しかし金だけ渡さなかった。生きる為には自分の力で生きなくてはならない。真理が自ら学んで来たことだ。

 青いテントの住民には幸せを願うが、例え真理が彼らの為にアパートを建てて無償提供しても住まないだろう。彼らは束縛を嫌う。だから時おり訪ねてご馳走する。命に関わるような病になれば自費で入院させた。それはこれからも続けるつもりだ。


つづく

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