第15話 真理はへこたれにない。新たな商売が成功。

若い人にも人気があり真理は銀座で昔の馴染みのホステス達に見本を見せて、気に入った物を選んで貰ったのだ。この頃には真理の名前は銀座では有名になっていた。銀座でもNO一と言われ若くしてクラブオーナーになった事や、失敗したこと。良い事悪い事につけ名前は知れ渡っていた。なんと言っても真理は人に嘘をつかないし裏切らない。それが真理の武器であり信用だ。水商売の女にしては真面目だから銀座界隈では真理のファンが多い。真理が新しく商売を始めても誰もが応援てくれる。真理の仕入れた革製品は信用があった。一流クラブのホステスは眼が高い良い品は糸目をつけず買う。

それが話題になり週刊誌やテレビで人気の店として紹介されたのだ。効果覿面で一気に売り上げが伸びて行った。今度こそ失敗は許されない。


 再びのし上がろうとしている真理に園子は釘を刺した。

「真理、流石と褒めてあげたいけど調子に乗り過ぎる所があるからね。一気に売り上げを伸ばそうとせず、一つ一つ段階を踏んで確実に伸ばすのよ」

「そうね、前回は調子に乗りクラブの店舗を増やし過ぎたわね。今度は充分な資金を蓄えて次のステップを踏んでゆくわ」

 その為に経営学を学んだのだ。それから五年後、真理の会社は世間でも知られる会社にまでなった。真理も既に三十七歳になっていた。その間に親友の園子は二人の子供が生まれていた。真理はまったく結婚に興味はなく商売にまい進した。やはり親の血は受け継いでいるのだろう。そしてついに自分が育った田園調布に家の建築が始まった。

 真理と園子は、その建築現場を眺めていた。完成したらこんどこそ長年預けて置いたトランクルームからワインを新築の家に移し招待した客に飲ませてあげたい。きっと亡き父も喜んでくれるだろう。

「園子が居なかったら私は橋の下で暮らしていたと思う。全ての園子のお蔭。本来なら園子にもこの土地の隣に家をプレゼントしたいのに」

「めてよ。此処に家を建てるとしたら数億じゃ建たないのよ。もう金銭感覚かまだ治っていないの。それにしても大きな家、いいえ屋敷かな。やっぱり真理には豪邸が合っているのかな」

 二人は目の前にある豪邸を眺めて肩を抱き合って笑った。


つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る