第2話 大富豪倒産 父母の死
酒井家に勤める使用人は執事、調理人、家事手伝いをする女性、庭師、運転手、雑用係、真理専任の教育係など三十人程を雇い、同じ敷地内には彼等の為の社宅も用意されていた。
真理が通う高校はお嬢様学校で、特に仲が良い友人の中に和田倉(わだくら)園子(そのこ)が居る。園子も上流階級とまで言わないが、ランクを付けるなら上の中という処か。比較的恵まれた生活している。酒井家に入るには大きな門がありその横に守衛所も設けられている。普通ここで通行証を貰わないと入れないが園子は顔パスで通れる数少ない一人だ。
そんな家庭で育った真理は苦労とは何かも知らずに育った。英才教育で学校は勿論、お嬢様学校と言われる有名私立校に通っている。その学校に行くのさえ真理の専用車でお抱え運転手までいる。真理はこんな生活が生涯続くものと思っていた。
たが人生そう良き日ばかり続くとは限らない。それは突然やって来た。
海外で大手の取引相手が倒産して、その煽りをくらった酒井物流商会。運悪く業務広大を図り大きな投資をしている矢先のこと。危ないとみた銀行は融資を渋った。更なる融資を申し込んだが、もはや手遅れ状態となり、その損害額は大きく資金繰りが底をついた。一度信用を失った酒井物流商会から得意先は去っていた。心労の余り真理の父が病で倒れると会社の経営は傾き、真理が高校を卒業すると同時に、その屋敷を売り払った。それでも会社を建て直そうと奮起したが再建は叶わず、すべてを失った父は、絶望的になり、ついに自殺してしまった。ショックが大きかったのか母も後を追うように亡くなってしまった。
つづく
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