私の波乱の人生

西山鷹志

第1話 大富豪の娘

「私の人生って一体どうなっているのだろう?」

 幸せの頂点から奈落の底、そしてまた浮かび上がったと思ったら、またしてもどん底の世界へ落ちて行く、まるでエレベーターのような人生。そう思わずにいられない酒井(さかい)真理(まり)の生き様だった。


 真理が生まれ育ったのは東京の田園調布。その地名を聞いただけで誰もが羨ましく思うだろう。言わずと知れた東京でも有数の高級住宅街の一角に住居がある。更に田園調布の中でも際立っている豪邸が真理の家。酒井家は広大な敷地と屋敷を構える日本でも有名な酒井物流商会。

 真理は酒井家の一人娘で、お嬢様学校に通ういわゆる上流階級の人間。しかも東大に受験して一発合格して頭も良い。来春から晴れて東大生になる予定だった。

 酒井家は曾祖父が築いた酒井物流商会。戦時中に軍に取り入り大きく成長した会社だ。戦争が終わると米軍に取り入り取引に成功して更に大きくなった。曾祖父の死後、祖父が引き継ぎ更に長男である父が引き継ぎ、日本でも名の知れる企業して成長して来た。


 真理の母は身体が弱く子供を一人産むのがやっとだった。それが真理一人だけだった。父も一人っ子で兄弟は居ない。何故か酒井家は子供運には恵まれないようだ。その分、真理のへの愛情は異常なほど注がれた。いずれは娘に婿をとらせ、会社を引き継がせようと思っている。酒井家は豪邸で敷地も広く、野球場三面ほど面積があり庭には芝生が敷きつめられ、夜はライトアップして野外パーティーなども出来る。他に広大な芝生がありゴルフも出来て、プールがあり池があり池の中央には噴水が噴き出している。父は仕事関係の人達と庭でパーティーなども年数回繰り広げられる、まさに富豪の生活スタイルだ。


つづく

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