第13話

翌日の早朝...


「ありがとうございました」

「いえ、大変だと思いますが頑張ってくださいね」


今俺は、宿屋で会った女性に見送られセーフエリアを出た

そして、昨日のうちに他の冒険者に次のセーフエリアの場所は確認しておいたので、問題はなし

朝出発して、夕方ぐらいに到着出来ればゆっくり休めるし、頑張ろう...と張り切りながら進んでいく


ところまではよかったのだが...


「この気配...今までの魔物と違う」

とんでもない魔力の大きさを察知した

おそらくだが、この魔力量...魔剣使いの俺の半分はある

この魔物が暴れ出したら...さっきのセーフエリアにいた他の冒険者まで巻き込まれる


「俺が倒すしかない...」と、剣を構える


向こうも俺に気づいたらしい

「ガアアアアアア!!!」

大きな咆哮をあげて近づいてくる

その姿は...オークに似ているが大きさは桁違い

オーク四体分ぐらいか...?

武器は...大剣か


「行くぞっ!」

ひとまず、剣を構え突進する

そして、しっかりと近づいて剣を振ろうとしたとき...オーク(オークに似た魔物だが省略)は、大剣を横に構え、そのまま俺に向けて突き出す


「ぐっ!」

俺の剣は、大きく弾かれ...そのまま勢いを殺せず俺は後方へ吹き飛ばされる

すぐ後ろには木が何本も生えている


「がはっ!!」

背中を木に打ち付け、俺はなんとか勢いを殺す

どんな馬鹿力だよ...あのオークに接近戦は無理か

仕方ない、魔法を...

木に当たらないように、極限まで細く...鋭くっ!


風針ウィンド・ニードル!」

俺の意思で風魔法はまるで針のようになり、オークへと向かっていく

が、オークはさっきと同じように大剣を横に構え...盾のように広げ迎え撃つ


「ガ....ガァァァ!??」

オークは俺の攻撃を受け止めきれず、後ろへジリジリと下がっていく

今しかない、ここで追い打ちを───────


「ひっ...!?」

俺が剣を構え、オークに近づこうとした瞬間...人の声が聞こえる

(なんで!? 誰も魔力探知にはかかってないぞ?)

どこにいるのか、俺は攻撃をやめ辺りを見回す

今、この周辺にはオークと俺以外はいない...はずなんだが


木の後ろに誰かいる....?

声の聞こえたであろう方向へ歩いて行く

しかし、そのタイミングでオークは攻撃を仕掛けてくる


「チッ! まずは、お前を倒さないと!」

「ガァァァァ!!!」

オークは大剣を縦に構える

(攻撃ってことだよな...)

正面から受けたら...本格的にまずい 次木にぶつかれば、無事じゃ済まないぞ


「ガァァァ!」

オークは全力で剣を振ってくる

「はぁっ!」

なんとか、右方向に跳び避ける


「反撃だっ!」


霧剣フォグ・ソード

心の中でそう唱えると、俺の剣には霧が集まり...

「はっ!」

俺がオークに向けて剣を振るうと、霧が飛び出しオークの視界を奪う


「これで終わりだっ!!」

俺は一気にオークとの距離を詰め、首めがけて斬撃を放つ


「ガ...ガァァァッッ....」

視界外からの攻撃にオークは驚き戸惑うような声を上げながら絶命する


「はぁ...強かったな」

それにしても、さっき聞こえた声は...

どこにいるんだ?

と、剣を鞘に収め近くの木の周りを見ながら歩くことにした


いっそのこと、怖いから誰かいてほしいんだけど...

こんな誤作動?今までなかったし

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