第1話

「おはよー...」


いつも通り、剣術学校の教室の扉を開ける


「おい...レオン、早く座れ!」


え...? 今日、何かあったけ...?


とりあえずセドリックに急かされるまま、席につく


そういえば、いつもは遅刻してくる奴らも何故か予鈴前にいる...


あ、あれぇ...?


「おい、レオン 遅いぞ」


教室の前の方に立つ、担任の先生にも指摘された


え、えぇ...?


何も聞いてないんだけど...




「今から、剣術大会の出場者を確認する

出場する気がある者のみ、挙手しろ」


え、これのためにわざわざ早く来たって...?


その質問、いるか?


剣術大会に出ないやつなんていないだろ..



と、案の定

クラスでは全員が手を挙げている


そりゃぁ、なぁ


自分の力を確かめる1番の機会だからな



「よし、それじゃあ今日は授業の代わりに

今回の剣術大会について説明するぞ」



「今代の勇者が女性のため、今回は男の部の優勝者が勇者と結婚することになる

ここが、いつもと違うからな」


「まぁ、1年生の優勝の確率は限りなく低いが

ゼロとも言えない、しっかり鍛錬をしておくように」


勇者と結婚、したい人いるのか?


と、思ってクラス中見上げて...


前言撤回、俺とセドリック以外の男子は全員狙ってそうだ


なんでなんだ...そんなに勇者の夫という肩書きが欲しいのか?



俺にそれは理解できないんだよなぁ...



​───────​───────


それから、あっという間に日々は流れ


剣術大会1日目..



俺は...2試合目か


早いな


「レオン、絶対勝とうな」


と、対戦表を見たセドリックが声をかける


「まぁ、優勝しなけりゃ...だもんな」


剣術大会での成績優秀者は、その後の学校生活でもアドバンテージがあるらしい



「じゃ、また後で」


「おう」






​───────​───────


「それでは只今より、ケメリカ剣術大会

1回戦第2試合を行います!!」


「始めっ!!!」


と、司会進行役の大きな声が響き

試合が始まる



相手は、格上

一流の冒険家だ


俺よりも相当な場数を踏んでる


でも、これは対応出来ないだろ



竜火剣ドラゴニック・ソード


竜の使う炎..あくまでイメージでしかないが

その炎を自身の剣へ纏わせる


「なっ...!? まさか、おま​─────!!」



そして、言い切る前に俺が剣を振るう



「がぁぁぁぁっっっっ...!!!」



スタジアム中央に火柱が立ち...


「なっ、なんと第2試合の試合時間20秒!!

レオンハルト選手...2回戦進出っ!!」



「ま...さか、お..前、魔剣使い...か?」


と、火柱に焦がされた相手が俺へ聞いてくる


「...まぁ、一応」


「お前ほどの魔剣使い....会ったことねぇよ...」


そりゃまぁ、この世界で魔剣使いなんて

俺と、俺の父親...それから父親のいた故郷に住む人達ぐらいだし


​───────​───────


会場...勇者のためのVIP席で...


「か、彼は何者だ?」


「えっと...ケメリカ剣術学校に通う1年生だそうです」


「1年生​────違うな、学生があれほどの魔法操作ができるとは....」


「そんなに、凄いんですか?」


その質問を聞いた勇者の鋭い眼光が突き刺さる


「魔剣使いなど...私たち、ただの人間では到達できる領域ではない」


「でも、あなたは勇者でしょう」


「無理だ、彼のように魔力操作をできて、尚且つ剣も扱えるのは、ほんのひと握りの才能がなければ」


と、勇者が拳を握り

机に向けて、思いっきり殴る


「あ、アイリーン様っ!?」


「黙れ」


「ひっ...!? す、みませんでした」


女勇者と話していた人物は、恐怖で体がすくみながら勇者から逃げるように立ち去るのだった

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