第8話 君は私のペルセウス
//SE たたっと走り寄る音。
「ごめん。天文部の先輩たちにちょっと断りを入れてきた。すっごいからかわれた……」
//ぐったりしながら。
「けど、こっちで観測していいって」
「は? 天文観測に来てるっていったじゃない。流星の数を数えないと帰りの車に乗せないって言われた。君は、ロードバイクで来てるからいいけど。私は、車乗れなかったら徒歩だからね」
//たははと笑う。
「だから気合い入れて朝まで観測するよ。ペルセウス流星群を見に来たのよ。
本当は、告白の為でもないし、スパイシーグリルチキンを食べに来たわけではないのよ。
……まあ、情報収集の為ではあったけど」
「あ、でも夜食うれしいです!
春雨スープ超おいしい☆」
// ちゅるちゅるすする音。
「さあ、北東からペルセウス座が上がって来たね。
ペルセウス座って見つけにくいのよね。
カシオペヤ座とかアンドロメダ座の下の方って思ってるくらいでちょうどいいかも」
「カシオペヤ座はWの形のあれね。明るい星が多いから見つけやすいかな。アンドロメダ座はこっちね。カシオペヤは美人な王妃さまで、アンドロメダはその娘のお姫様なの」
「美人系とかわいい系はどっちが好き?」
「あ、もうリサーチしなくていいのか?」
// 恥ずかしがりながら。
//メモを片付ける音。
「カシオペヤ王妃は、美人であることを自慢しすぎて神様の怒りをかってしまうのね。それで、国で化けクジラが暴れるようになってしかたなく、娘のやっぱり美しいお姫様のアンドロメダを生贄に差し出さなければいけなくなるの」
「くさりでつながれ、身動きの取れないアンドロメダを化けクジラを倒して救ったのが、ペルセウスなの!」
「英雄ペルセウス。星並びが見つけにくいなんて言ってごめんなさい……」
「けど、私だけが見つけられる勇者でいてくれて、うれしいんだよ」
//ふふふと含み笑い
//SE 星の流れる音。
「あ! 流れ星! また!」
//_φ(・・ )メモメモ
「わぁ、すごい当たり年かもね。
明け方までいっぱい見れそう」
「メモ帳の正しい使い方をはじめて見た?
し、失礼ね。最初から最後まで正しいメモ帳の使い方をしてるわよ」
//SE 星の流れる音。
「今日は、一緒に星を数えましょう」
// すぐとなりから聞こえるように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます