第6話 俺の言い分

//SE たき火が爆ぜる音。


「だてメガネは不要?

 そ、そうなの?」


「君の好みのタイプを色々調べてるんだけどな……ちがったか……」

//ぶつぶつ小声。


「私のこと、嫌いじゃないの?『あの遭難した時のことは、俺が無茶したせいで大事おおごとになって反省してる』って?」


「そんなこと言わないでよ。

 君は、私の英雄ヒーローなんだから!」


「なんで、そこでしょぼんと落ち込むのよ。

 よろこぶところじゃないの?」


//SE たき火が爆ぜる音。


「……え? だから、ぼっちキャンプしてるの??」

//戸惑い気味。


「ちょっと、ごめん。意味がよく分からないんだけど、あの時のことがきっかけでぼっちキャンプ……もとい、ソロキャンプを頻繁にしてるの?」


「あの時、山歩きは得意だとか言って、結局、雨風も山から下る方向も、なにも分からなくて、何もできずに悔しかった?」


「泣いてる私を、なぐさめたり励ましたりできるほど、器用でもなくて無力だったから、せめて、ひとりでなんでもできるようにソロキャンはじめたり、山登りしてるってこと?」


「なんだか、楽しそうに毎週ソロキャンプに行くと思ってたのに、そういう理由もあったのね……」


「君は、そのままで十分かっこよかったのに……。

 でも、君はそうやって努力しちゃう人なんだよね。やっぱりすごいよ」


「おかげでまた、こうやって話すチャンスがあって、キャンプさまさまだね」

// とてもうれしそうに。


「君と高校で同じクラスになったのに、全然話せなかったから、嫌われてるかなって思ってて、正直、今日声かけるの怖かったんだ」


「君も、ちょっと意識してたの? そっか、お互い気まずかったんだね」


「じゃあ、今日で仲直りってことでいいかな?

 私が聞くのもなんだけど、許してくれる?」

//おそるおそる手を差し出す。


「よかった~。え、『好みのタイプじゃないのに、仲直りの握手してくれるのか』って?」


「っと、今まで、何を聞いてたのよ!

 からかわれたから、照れ隠しでとっさに言っただけで、本心じゃないって言ったよね!」


「それに、嫌いだったら、仲直りしようと思わないし、ぼっちキャンプまで追いかけてこないし、好きなタイプリサーチしないし……」


「北極星だって教えてあげないんだから!」


「んっ、もう!! 

 遠い。君は17万光年遠い!!

 全然伝わってな~い!」


//SE フクロウの鳴き声。


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