第7話

「・・・ティアラ嬢?」


こんな朝早くからどうしたのかと声をかける。


反応がないので、近づいてみた。


彼女は机にうっつぷせていた。


「こんな速くからどうしたの?」


ティアラ嬢はそのままの体制で言う。


「・・・ちょっと鬼から逃げてきました・・・もう節分の時期ですね」


なにをどう返せばいいのかわからず困っていると、ティアラ嬢はまた話し出す。


「・・・いいですよ、返事は求めていません。もうどうでもいい。私、20で死んだんだけど。クソみたいな人生で死んだのに、転生したら、今度は人殺し付き。もう勘弁してください。神様なんか嫌いだ」


様子がおかしくて、彼女の肩に手をのっけた。


ティアラ嬢は肩をびくりとさせて顔を起き上がらせながら言う。


「もう死んでもいいや・・・うわっ?!」


そして、俺の顔を見て驚かれた。


「ででででで、殿下、いつからいました?!」


「さっきだけど・・・」


「わ、私、何か変なことを口走っていたような・・・」


俺は何も言えず、口をつむぐ。


今の発言は、聞き流せるものではなかったが、それを本人にわざわざ言うのも、おかしかった。


「・・・気にしないでください。別に本気じゃないです・・・生まれた瞬間から思ってましたから(笑)」


それはそれでやばい気がするが・・・


ティアラ嬢は気を取り直して言う。


「えと、殿下早いですね・・・あっ、ちょうど殿下と二人きりだし・・・」


話の進む方向が急にずれた。


何を言われるやら、唾を飲み込んで待つ。


「せっかくなので、勉強教えてくれませんか?」


・・・裏切られたような気分になり、俺は仕方なくうなずいた。

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