第4話

「ティアラ嬢、ランチを一緒にしても?」


「・・・はい」


殿下の誘いにも、ろくに答えられないまま、殿下についていく。


・・・眠い。


昨日寝られなかった。


食欲もないし、昨日の夜からなにも食べていないけど、まあいいか。


「体調がすぐれないようだけど、大丈夫?」


「ご心配いただけるなんて、光栄です」


どうにか甘えボイスで言おうとしていたセリフは、思いっきり棒読み。


殿下がどんな顔をしているのか確かめたいが、顔を上げるのが疲れる。


椅子に座る。


殿下は私に問うた。


「何食べる?」


「・・・水」


頭もくらくらしてきたなあ・・・


これはかなりやばいかもしれない。


私、睡眠取らないと駄目な体質だったっぽい。


さては、午前にあった数学の授業を頑張りすぎたのが原因か。


眩暈までしてきた・・・


保健室に行こうと思って、立ち上がる。


でも、気づくのが遅かった。


目の前が定まらない。


足が軽くなるような気分に陥った。


「ティアラ嬢!」


その声を聞いて、私は、気を失ってしまった。




「目が覚めた?」


私はゆっくりと目を開けた。


窓からは夕日が差し込んでいた。


いや、夕日がほとんど沈んだ感じだった。


「・・・ありがと、ございす・・・」


まだ頭はずきずきするが、少しは良くなった。多分。


殿下の手を借りて上半身を起き上がらせる。


「・・・寝不足、ですので・・・」


情けない私の原因を言うと、殿下は不安そうにこちらを見る。


「寝不足でこんなになる?」


・・・さあ。


「家まで送るよ」


「ありが、と、ございます・・・」


なんとかお礼を言って立ち上がる。


でも、力は入らなくてすぐに崩れ落ちた。


殿下が抱き留めてくれたが、私、かなりおかしくなっているっぽい。


記憶が頭の中で渦巻いている感じがして、頭の中から悲鳴が聞こえた。


「・・・病院に行こうか。」


まさか精神科?


聞くわけにもいかず、私は病人のように運ばれた。

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