第8話 長旅の始まり

 お昼終えてログインしたら朝方でまだ薄暗く、ゲーム内時間で明日には出発するので、それぞれ準備を進める。私は長旅用の物資を買い込み、インベントリに放り込んで子供達の面倒を見る。フィリアはリアと一緒に、ギルドの訓練場で走り込みとか、魔力操作とか生活魔法を使えるように訓練。他の大人達は狩りで訓練したり、訓練場で訓練したり、自分達に必要な物を買ったり、売ったりして、のんびり準備していた時間は終わり、慌ただしくもしっかり準備する。で、半日しっかり休んでから出発。



 ゲーム内で翌日。馬車置き場にて



「忘れ物無い?」

「大丈夫だ。装備も軽く一新したし、予備もある」

「あまり戦いはしたこと無かったけど、成人済みのエルフは皆、戦闘魔法の使い方を思い出したりしたわ」

「こっちも着替えとか食べ物は大丈夫だけど、水がね。樽を買って果実水とか大人用のエールとか日持ちするのを合計で4樽用意したし、子供達用の物も買ったわ」

「じゃ、出発しようか」

「では出発するが、こちらが荷物を牽引で良いのか?」

「流石に、増量して更に荷物を牽引させるのはね。重さ的には変わらないみたいだから、4頭ずつで馬車を引くって」

「そうか……しかし馬と会話できるとは驚いた」

「だいたいの動物系なら会話出来るよ。まぁ、鳴かないのと表情が読めないのは難易度上がるけど」

「それは、そうだな。ベクス、出してくれ」

「はいよ」



 ようやく帰れるので、皆元気だ。北門を越えたら、この旅でパーティーが固定となるテイムモンスター達をテイム石から出して、昼間担当のカピタン、デカサの狼2頭が先頭馬車の左右、ククルが上空、アスールが私達の後方で周囲を警戒。他の狼達は幌馬車の床で休み。アルコンは私の頭の上で寝てる。リアは私の右、フィリアは左で御者台に座って、2人に馬車の動かし方を教えながら進む。



 まぁ、ここに来る前に会った賊はアジトに居たのも含めて討伐したし、そうそう襲われたりはしないはず。まぁ、障害物があってもアスールを突撃させれば基本的に大丈夫。障害物で足止めされて、襲撃されてる馬車とか無ければね。流石に、この人数とテイムモンスター達の気配、襲ってくる動物系はほぼ居ないはず……まぁ、襲ってきても基本的には雑魚だし、馬車同士はそんなに離れてないから、賊とかも襲いにくいだろうし、安全に第2フィールドの街に行けるかな?



「そこは違う。こう〈Burr、brrrrr、hihhnn〉分かった?」

「……難しいです」

「後は、ちゃんと目や尻尾を見る。ただの馬は臆病だから、驚くと走り出す。ただ、信頼関係があり、意思の疎通も容易なら、馬に目隠しと耳栓をしても言うことを聞いてくれる。目隠し位は良くても、耳栓まではなかなか許してくれないから」

「分かった!」

「いや、何の教育をしているんですか?詳しく聞いても分からないんですが?」

「動物とのコミュニケーション、馬編。狼とか群れている奴は、リーダーを転がして、喉とお腹に頭を押しつけるとリーダーの負け。だから、カピタン達のリーダーは私……もしかして、他の皆もリーダーって実力で認めさせれば皆一個の群れになってテイム枠1個になったりする?」

「おぉー」

「いやいや、流石にそこまでは認めて……クッ、サポートAI 権限が無くなったのが痛いですね」

「まぁ、カピタンはオスとしてのリーダーだけど、ペロはメスのリーダーっていうか、最近だと昼はカピタン、夜はペロみたいな感じだよね。狼達のリーダー枠」

「へぇ……って、今は御者の練習でしたよね?他に無いんですか?」

「?……無い。コミュニケーションは大事。相手は道具じゃない」

「が、頑張ります」

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