第26話 脱!初心者6

 さて、馬車から蹴落として燃やしてる間に馬車をクリーンで綺麗にして、とりあえず私が持ってきた馬車に繋いでいる馬を何頭か連れて……商人さんが居る方に馬車を持って行こう。



「ちょっと馬を連れて来て、私が護衛してる商人さんの方に馬車を運ぶね。今後の事は、お昼ご飯でも食べながら決めようか」

「分かった。クリーンのお陰でだいぶ臭いも薄くなったし、助かった」

「良い。所で……あなた達は奴隷?」

「いや、拉致られただけで、まだ奴隷ではない。それと、こっちの檻は開いてるが、奥に女性と子供が檻に入っている」

「……ここから帰れる?」

「いや、流石に物資を貰っても……子供を守りながらは厳しいな」

「分かった。とりあえず、獣人の人が多いみたいだし、信用する。ある意味、賊が不潔すぎて、ただの人間だったのが良かった」

「そうだな。まぁ、我々でもあの女が賊とは、最初は予想出来なかった。護衛の1人だったんだ。もう1人居たが、戦いで死んだんだろう」

「……とりあえず、馬を連れてくる。御者出来る人が居るならお願い。臭い所でご飯食いたくない」

「確かにな。俺は虎族のティグリだ。一応、この中でリーダーみたいになってる。障害物はこちらで退かしておこう。御者なら確か……」

「……山羊族のベクスです」

「私はリンセ。じゃ、少し待ってて。これ、見つけた鍵。どれが奥の檻の鍵かは知らない」

「分かった。この子はどうする?」

「ん?……仕方ない。私と一緒に動く」

「お姉ちゃんと?」

「そ。男の人は基本的にレディの扱いが苦手だから。それに、これから色々するから、邪魔をしたらダメだからね」

「分かった!」



 さて、決まった事だし女の子を連れて馬を連れて来ないと。後、商人さんに軽く説明をして、さっさとここから離脱しよう。



 それから、馬車が3台になったけど、臭い場所から離れて遅い昼食にする。まぁ、物資は多いからね。それに、賊のアジトにあった物で持ち主が分からない物は発見者の物になるからね。装備に宝石、雑貨、食糧に馬と馬車……物資がウハウハ。っと、食事が一段落したら、これからの事を話し合わないと。



「じゃ、今後の予定を話そうか」

「と言っても、冒険者である彼女の依頼主で、ただの商人である私は、街に着いたら依頼完了で別れるので、何も言うことは無いです」

「我々としては装備や物資を貰っても、部落がバラバラで、全員揃って元の部落に帰るのは難しい。それに、中には身内がこの場に居ない子供もいる」

「……仕方ない。街で1日しっかり休んだら準備をして私が連れてく」

「それしか、ないでしょうね。助けて面倒を見るとなると。しかし、良いんですか?兵士に渡して軍に任せるという事も出来ますよ?」

「まぁ、俺達は嬢ちゃんだろうが、軍だろうが、最終的に家に帰れるなら問題ない。ま、中には獣人じゃなくてエルフ族も居るからかなりの長旅になるだろうな」

「はぁ。ま、私は街までの同行者ですからね。その後は知りません。後、彼女はあくまで、私と私の商品の護衛ですから。街までは頼みますよ?本当に」

「……分かった。それと、商人の娘は亡くなった商人だけ親で、本来なら使用人とか、お店の人とお留守番だったみたい」

「店主が亡くなったお店は、他の商人か従業員、身内が他に居ればその人の物ですね。後を継ぐにしても、娘さんの年齢的に商人としての教育を受けているかも分かりませんしね」

「ま、本人の意思次第だろ」



 ひとまず、軽い話し合いを終え、街までは同行するのは確定で、私が操縦する馬車(積み荷は女性と子供達だけにして、インベントリに入る物は全部入れた)、商人さんの馬車(積み荷に変更は無し)、ベクスが操縦する拉致られた人達の馬車(積み荷は成人男性と、インベントリに入らなかった物)の縦列で編成し、日が暮れるまで移動した。

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