第1章
第1話 何か来た
私が琴坂家の人間になって今日で7年になる。というか、私にとっては人生7回目の誕生日だ。琴坂家に来るまで誕生日というのは聞いたことないし、誕生日会というのを開いてもらった記憶もない。そして、今日は休日。
皆(父親除く)で昼食を食べ、リビングでのんびりしていた時にそれは来た。多分、パドレからの誕生日プレゼントだろう。確か、今は私が居た国ではなく、違う国で働いているらしい。で、亮治兄さんと
しかし、7年も経てば私だってそれなりに日本語や英語で話は出来る……たまに自信無いけど。ただ、最初はもっぱらスペイン語だったせいか、父親と母親はスペイン語呼び父と母が気に入り、亮治兄さんは何でもいい派、真衣お姉ちゃんは、真衣お姉ちゃん呼びしか認めてくれない。不思議。
で、マドレは割りと直ぐに帰って来たけど、亮治兄さんはなかなか帰って来ないし、配達員さん?も帰ってない(リビングから配達業者?のトラックが見えてる為)。
「ふぅ、取り扱った事は有るけども、設置は初めてで大変だった。細かいのは持ってる真衣の方が詳しいだろうからパス」
「はいはーい」
と、兄が戻ってきたら、代わりにお姉ちゃんがリビングから出ていった。しかも上機嫌に。いったい何なのだろうか?ん?……あぁ、宅配屋さん?亮治兄さんがリビングに来る前には帰って行った。気になるけども、作業が終わったら戻ってくるし、その時にでも聞こう。お姉ちゃん、ゲーム好きで誕生日とか何かの行事とか学校とかご飯時とか、意味が分からないけど私の成分?チャージって言って私に抱きつく以外じゃないと部屋から出てこないの多いし。
因みに、マドレと兄さんはリビングでテレビを観ていて、私は床に座って2代目ヘンリー(犬、去年の誕生日プレゼント。初代ヘンリーは4年前に亡くなった)とシャン(犬、最初の誕生日にプレゼントってパドレがマドレに相談して兄さん買って来た)、フェレス(猫、一昨年の誕生日プレゼント)達とのんびりゴロゴロしてる。季節は秋の半ば、日向暖かい。まあ、冬になれば私達はストーブの前か炬燵の中……は流石に私の身長が伸びてちょっと難しい。
「リンセちゃーん、ちょっとリンセちゃんの部屋に来てみて-」
「?」
真衣お姉ちゃんに呼ばれて仕方なく、ぬくぬくの日向に後ろ髪を引かれながら、自分の部屋に向かう。因みに、家は2階建てで一階に兄とパドレの部屋。二階にマドレ、真衣お姉ちゃん、私の部屋がある。
「何、これ?」
「ふふん、これはVRゲーム用のデバイス。で、これがソフトが入っていたケースでゲーム名はアナザーワールドセンチュリー。剣と魔法のファンタジーゲームだよ。今はソフトのインストール中だけど、デバイスであるこの箱の中で寝て、頭にこのバイザーみたいなのを着けてようやくゲームが出来るのだよ」
「で?」
「これで私と一緒にゲームが出来るよ!しかも、リンセちゃんの好きなモフモフ動物もいっぱい!」
「っ!?」
「ふっふっふ、やりたくなってきたでしょう?」
「(コクコクコク)」
「素直で宜しい。まぁ、ゲーム初心者にも優しいサポートAI 付きだしやり方はそっちに最初は教えてもらって、分からなくなったら私に聞いてね。因みに、これが我が家の大黒柱である、お父さんからの誕生日プレゼントね(まぁ、私が要望出したけども)」
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