　　場所は中央駅で、失物招領所の倉庫の前です。紗希はマリーナ、古玉美、シルビアを連れてここに来ました。もちろん、マリーナは張螢雪も連れてきました。たくさんの事実がある今、必要なのはよく考えることと、何が必要かを考えることです。マリーナは静かな場所を探す必要があると言ったので、紗希はみんなをここに連れてきました。

　　「わぁ、すごい！」ドアを開けると、マリーナは行方不明の物品が整然と並んでいるのを見ました。以前一度見たことはありましたが、古玉美は再び驚嘆し、「わぁ」と言いました。彼女は毎回見るたびにその壮大さに感心します。シルビアも同様に同意しました：

　　「にゃー。」

　　「放して！私を引っ張らないで！暴力な馬鹿女！」と、張螢雪は抵抗しながらも、マリーナに引かれて倉庫に入りました。マリーナは突然面白いものを見つけたので、手を離し、抵抗する張螢雪は床に倒れました。マリーナは丸くて丸いものを指差して尋ねました：

　　「それは何？」

　　「失物です。」と紗希は考えずに答えました。その間、紗希は古玉美と一緒に張螢雪を助け起こし、少し歴史のある椅子に座りました。

　　「それは当然のことではないのか？」とマリーナは腰をかけて言います。「私は何がそれなのかを尋ねているのです。」

　　「分からないんだ。」

　　「分からない？」

　　「はい、この層には何が何だか分からないものがたくさんあります。」

　　マリーナは眉をひそめてその層にある品物を見つめました。未知の物品がたくさんあります。マリーナは張螢雪に向かって意見を求めようとしましたが、彼女に厳しく睨まれました。

　　「でも、ここには本当にたくさんのものがありますね。」と古玉美は感動して言います。前回一度来たことはありますが、毎回感動します。

　　「そう、たくさんありますね。」

　　「これは一体誰のものなのでしょう？そしてなぜ残されたのでしょうか？」

　　「ほとんどの場合、誰かが忘れてしまったもので、取りに来なかったんです。」

　　「なぜ来なかったんですか？」

　　「それは分かりません。」紗希は棚を見つめながら言います。「重要でないからかもしれませんし、新しいものが手に入ったからかもしれません。」

　　「重要ではない？でも…」マリーナは古びた人形を手に取り、毛糸がほつれ、再び縫い直された痕跡が見られます。

　　「新しいもの？代替品ですか？淑美さんが言ったように？」古玉美はマリーナに聞いたことを伝えます。マリーナは黙って聞いていました。以前にエレインから聞いていたので、すでに感じていましたが、今では非常に感動しています。美夏もいつかこのようになるのでしょうか？それによって、場面に陰りが差しているように感じました。

　　相反に、紗希は非常に異例のものに気づきました：「あなたは言っているのですか、ミントを製造する会社が意図的に消滅したのですか？」

　　「はい、そして、それは妹が録音した直後の出来事と言われています。」

　　「そして、それからおおよそ半月後、彼女は失踪しました。」

　　「しかし、黄刑事は彼女が失踪する前に男性の友達を知っていたと言っていたでしょう？おそらく、これらの事象は関連していないかもしれません。」マリーナは言いました。

　　「つまり、あなたは彼女の姉の失踪と、ミントを殺す悪ふざけとは関係ないと考えているのですか？」

マリーナは自信をもって頷き、そのため、紗希は尋ねました。「では、あなたは何が起こったと思っていますか？」

　　「非常に単純です、それはイランがやったことでしょう？」

　　「イラン？」古玉美は驚きました。「それはありえないでしょう。」

　　「なぜそう思うのですか？彼女の性格からすると、彼女は絶対にそんなことをするはずがありません。」

　　「私は多くの噂を聞いたことはありますが、それは本当にそんなに悪質なことなのですか？」古玉美が尋ねました。

　　「もちろんです。」マリーナは不機嫌そうに言いました。2人の間には明らかな対立があるようです。紗希と古玉美は微笑み合い、そして紗希が異議を唱えました：

　　「でも、彼女はコンピュータールームにアクセスできないはずでしょう？それとも、あなたはまだ雪子の手助けだと思っていますか？」

　　「もちろん彼女です。それ以外に考える余地があると思いますか？」

　　「他のスタッフもできます。」紗希は言い換えました。「そして、もし雪子が本当に犯人だったなら、なぜ自分自身とイランの関係を暴露するのでしょうか？誰も知らなければ、疑念もかかりませんよね？」

　　「これは...私がうっかり口を滑らせたからではないでしょうか？」

　　「私は思います、紗希さんが言う通り、コンサート当日になぜイランからサインをもらいに行かなければならなかったのでしょう？」

　　「うーん、それは彼女たちの関係が公になった瞬間でした。もし彼女たちがその日に悪ふざけをするつもりだったなら、お互いに接触することは不可能でしょう。」

　　「演技を意図的にするということは、計画的に行動することです。」

　　「その演技を誰に見せるつもりだったのでしょうか？最初から誰も彼女たちの関係を知らなかったはずです。」

　　「しかし、私がうっかり口を滑らせることを知っている人もいないでしょう。だが、彼女たちが悪ふざけをする前に、注意を払うべきではなかったでしょうか？」

　　「そうかもしれませんが...」マリーナは知らんぷりを決め込み、突然質問を投げかけました。「では、あなたはどう考えますか？」

　　「私はスティーブンだと考えています。彼は会社の従業員で、おそらく小玉の姉を知っているかもしれません。」紗希は指を一本立て、声も高くなりました。「そして、小玉の姉が失踪前に男性の友達を知っていたと言っていたのではありませんか？」

　　「あなたは彼女の男友達がスティーブンだと言っているのですか？」

　　「それは可能性があるでしょう？」

　　「それは可能性があります...」マリーナはしぶしぶ認め、それからまた反論しました。「いいえ！それは奇妙な行進曲やアリス・クリスティーナかもしれません、ではないですか？」

　　「しかし、スティーブンにはミントに対する憎しみの理由があるとされていますが、他の二人には動機がありません。」紗希は眼鏡を調整しながら言いました。「スティーブンは作曲家であり、おそらく歌手を目指していたこともあるかもしれません。作曲家が歌手も兼任することはよくありますが、彼は成功しなかっただけです。」

　　「でも、なぜ電子の歌姫ミントを憎む必要があるのでしょうか？」古玉美はまるで小学生のように迷いながら手を挙げました。

　　「なぜなら、ミントは仮想的な存在だからです。他の人に負けることは、自分の才能が足りないことを意味します。しかし、仮想の存在に負けることは受け入れがたく、さらに彼女に曲を提供しなければならないというのはさらに屈辱的でしょう。」

　　「しかし、スティーブンは会社に入る前からミントソフトウェアを使っていたことがあります。」古玉美が言いました。

　　「本当ですか？」

　　「そうですか、翠華姐さんから聞いたことがあります。私たちはスティーブンたちを待っている間、彼女がそれを言ったんです。」

　　「そうなんですね。」紗希は落胆の表情で言いました。マリーナはこれまでに彼女が落胆するのを見たのは二度だけで、もう一度はモデルのオーディションに行かなければならなかった時でした。

　　「それでは、古玉さん、あなたはどう思いますか？」マリーナが尋ねました。

　　「私？私はわかりません。」

　　「適当に逃げないでください。私と紗希はすでに話しました。」マリーナと紗希が同時に古玉美を見つめ、彼女を少し驚かせました：

　　「でも...私...以前に翠華姐さんを犯人だと思って間違えましたから、もう一度間違えたくありません。」

　　「なぜ小蝶の姉を犯人だと思ったのですか？」紗希は笑わずに尋ねました。

　　「だって...」古玉美はシルビアを一瞥し、「探偵小説ってみんなそういう展開じゃないですか？一番ありえない人が犯人だったり...」

　　「一番ありえない人...」紗希は考え込んでいました。

　　「でも、私は両方の事件に関連があると思います。」このとき、シルビアがちょうどニャーと鳴いたので、古玉美は何かを思いついたようでした：

　　「そうだ、恨みからかもしれませんか？」

　　「恨みから？」紗希とマリーナが同時に尋ねました。

　　「そう、姉が失踪前に男友達を知っていたでしょう？おそらく彼らの関係に何かが起きたのかもしれません。」

　　「あなたは言っているのは、誰かがあなたの姉を憎んで、それがミントにも影響を及ぼした可能性があるということですか？」紗希が整理して尋ねました。

　　古玉美は頷きました。

　　「だれがそんなことをするでしょうか？」

　　「たとえばアイスストーム、彼女は私の姉を知っていますよね？」

　　「お願い、アイスストームは女性だよ。」マリーナはため息をつきました。

　　「でも...三角関係かもしれない？」

　　「小玉は会社が後で彼女姉の記録をすべて削除したと言ったでしょう？その時に何かが起こったかもしれず、アイスストームが何も言わなかったことは非常に怪しいと思いませんか？」紗希が古玉美をサポートしました。

　　「それで、紗希が言ったように、もし彼女が小玉の姉についてまったく言及しなかった場合、誰もそれを知らなかったでしょう？」マリーナが言いました。紗希と古玉美は珍しく頷きました：

　　「うーん、そうだね。」

　　マリーナは言い終わると、それ以上何も話さなくなりましたが、紗希と古玉美はマリーナが続けるのを待っていました。しばらくの沈黙の後、マリーナは突然張螢雪に向かって尋ねました：

　　「次はあなたの番です。」

　　「私ですか？」張螢雪がみんなに白い目で見ました。

　　「あなたは誰が犯人だと思いますか？」

　　「犯人？見つけてもどうなの？」張螢雪が反問しました。

　　「もしかしたら、小玉の姉を見つける手助けができるかもしれません。」

　　「警察に頼ったほうが早くないか？」

　　「でも警察はミントのことを知らないでしょう。」マリーナも声を高めて言いました。

　　「馬鹿なのか？」

　　「何を言っているんだ！」

　　紗希は時折、普段は目立たないように思える張螢雪が話すときは意外に辛辣で、アユエよりも辛口だと感じることがありました。しかし、今はため息をつく時ではなく、まずは二人の口論を止めなければなりません。

　　「雪ちゃん、あなたの意見は...」

　　「なぜこれらの事柄が必ず関連があると考えるのですか？」

　　「小玉の姉がミントの声の提供者であり、しかもこれらの事がほぼ同時期に起こっているからです。」

　　同じ問題が以前にも議論されたことから、張螢雪は反論せず、ただ納得いっていない様子でした。

　　「それは私と同じ意見ではありませんか？」マリーナが反問しました。

　　「もちろん違います。」張螢雪は冷笑し、マリーナが怒り燃える様子を見て満足そうに言いました。「ミントの件、誰が最も利益を得ていますか？」

　　「ヤラン！」とマリーナが先に言いました。しかし、張螢雪は全く相手にしませんでした。しばらく待っても返事がないので、張螢雪が言いました：

　　「もちろん社長です！事件はミントのネット人気を急上昇させました。」

　　「それなら葬儀はどうなの？」紗希が尋ねました。「人気を高めるだけなら、本当に葬儀を開かなくてもいいはずです。」

　　「それは別の人がやったことで、社長とは関係ありません。」

　　「それは誰がやったのですか？」

　　「私なんて知らないわ！」

　　「もし雪ちゃんの言う通りだとしたら、それは誰かしら？」紗希はマリーナと古玉美に質問しました。

　　「ミントを恨む人？」古玉美が提案しました。

　　「ですから、結局同じ問題に戻ってきますね。ミントや小玉の姉を恨む人が必要ですか？」

　　「次は...」マリーナが突然何かを思い出し、悪戯っぽい笑顔を浮かべました。「いえ、次はシルビアの番です。」

　　「シルビア？」

　　「いつ輪を回すのですか？」いつ順番を交代すると言いますか？紗希は思ったが、マリーナの言葉に割り込むことはせず、「シルビアも考えられますよね。少なくとも小玉は彼女の言葉を理解していますよね？」

　　「私？」古玉美が自分を指さしました。「実は私もあまり理解していないんです。」

　　「でもあなたは猫語を話せるんでしょう？よくあなたと小猫が会話しているように見えますから。」紗希も眼鏡を調整しつつ、興味津々で尋ねました。

　　「猫語ですか？うーん、私は分かりませんが...」古玉美は考えた後で言いました。

　　「でも...」

　　「私は理解できないけれど、シルビアの言いたいことは分かるんです。」

　　「直感ですか？」マリーナはため息をつきながら言い、一方で紗希を見つめます。紗希は顔をそむけ、直感ではなく魔法だと認めたくありません。疑問を口にすると、みんなが一斉に張螢雪を見ました。彼女は眉をひそめて言いました：

　　「私を見ないで、信じるか信じないかはあなたたち次第です。」

　　「あなた、外祖母が魔女だったことがあるんでしょう？」マリーナは他の三人の心情を表現しました。「もっと魔法について知っているはずですよね？」

　　「私も昨日知ったばかりです。」

　　「今夜、尋ねてみましょう。」

　　「今夜、祖母に会えないんです。」

　　「なぜ？」

　　「一緒に住んでいるわけじゃないから、たまに遊びに行くだけなんです。」張螢雪はイライラして言いました。

　　「うわあー、もう我慢できないわ。」マリーナが不満を言い、「正直言って、あの魔女学校って一体どんな感じなの？ネットで調べても全く情報が見つからないわ。公式サイトは学校の紋章しか載ってないし、連絡も全然来ない。唯一の連絡は道具を送ってくるだけで……」

　　「そうそう、」紗希がマリーナをなだめて言い、話題を元に戻そうとします。「では、小玉、シルビアは何か考えているのかしら？」

　　「彼女の意思は、『私、さっき言ってたニャン？』って感じですよ。」古玉美がシルビアを見ながら言い、途中で意図的に高い声で話し、まるでテレビアニメで見る猫の声のようにします。

　　「さっき？」

　　「『そうだニャン。』」

　　「そうだニャン？」

　　「ああ、ごめんなさい。そう、さっきシルビアが提案して、相手は姉妹を憎んでいるからミントも嫌っている、と言ってたんです。」

　　「なるほど！」マリーナは悟ったように言いました。「それでは、あなたはまだ言っていないのですね？」

　　「私？...」古玉美は再び慌て始めます。

　　「そう、あなたの番です。」

　　「私...」古玉美は目を閉じて、一生懸命考えます。「思いつかない。」

　　「だめ、絶対に何か言ってください。」

　　「ええと... それでは... アリス・クリスティーナ。」古玉美は最初に思いついた名前を言いました。

　　「なぜ？」

　　「わからない...」

　　「ふふ、わからないの？」マリーナは奇妙な笑顔を見せました。

　　「また、あなたが必ず言わないといけないって。私がどうして知ってるの！」いつも温和な古玉美が突然怒り出しました。マリーナは驚いてすぐに頭を抱え、古玉美の怒りから逃れようとします。古玉美は拳を挙げて、マリーナに殴りかかろうとしますが、結局は動かなかった紗希の頭に当たってしまいました。

　　「痛い。」紗希の眼鏡が床に落ち、痛い場所を押さえながら地面にひざまずきました。

　　「大丈夫？紗希。」古玉美とマリーナが一緒になってひざまずいて気遣います。

　　「大丈夫です。」紗希は古玉美が拾ってくれた眼鏡を受け取り、再び顔にかけます。

　　「さっき考えていたんですが、もしアリス・クリスティーナが犯人だとしたら、なぜこんなことをする理由があるのでしょうか？」

　　「愛が憎しみを生むから？」古玉美が提案し、マリーナはそのアイディアに感銘を受けます。

　　「そう、例えばミントが好きすぎて、だから彼女を殺したのか？それとも小玉の姉を奪って自分のものにしようとしたのか？テレビでそういう話を聞いたことありませんか？ファンがアイドルを愛するあまり彼を殺した、あのブルーリンっていう人じゃないですか？」

　　「ジョン・レノン。」張螢雪が訂正します。

　　「そう、そうです。」マリーナは適当に答えます。「あなたはこれが可能性があると思いますか？」

　　「無いわけではないです。」紗希がやや強引に認めます。

　　「でも、ミントは電子の歌姫でしょう？仮想のキャラクターを殺すことはできるのでしょうか？」古玉美が尋ねます。

　　「あの映像はもう殺されているじゃないですか？それに葬儀もありました。」

　　「でも、私はまだミントの音楽を作り続けることができますし、彼女に踊りを踊らせることもできます。」

　　「では、犯人は誰だと思いますか？」

　　「これは...」

　　「まだ話し合われていない人はいますか？」紗希が提案します。「一人ずつ話し合ってみませんか？」

　　「奇怪な進行曲がまだ残っているはずです。」その後、紗希が思い出します。「それと、小蝶の姉もまだ話していないですね。」

　　「部屋に関わる人全員で話し合うべきでしょうか？」

　　「部屋に入ったことがある人、例えばお使いをしていたスタッフなど、その他の人も話し合いの対象です。」

　　「でも彼らはコンピュータに触れることはできないと言っていましたよね？」

　　「じゃあ、警備員も話し合うべきですか？」

　　「そう、それで社長しか残っていないですね。」

　　「アラン先生も入ったことがあります。」紗希が補足します。

　　「彼はトイレだと勘違いして、間違った道に入ってしまったと言っていたでしょう？」マリーナが不機嫌そうに言います。「それに彼はコンピュータに触れることはできないはずですし、なぜ彼がそんなことをするのでしょうか？」

　　「あなたのために？」紗希はマリーナを指差して言います。「ミントもあなたのライバルでしょう。」

　　「でも彼はコンピュータに触れることはできないはずですし、彼が中にいたのはわずか数十秒だけです。」

　　「手早い可能性もあるでしょう。」紗希が言いますが、その後アラン先生が手早いということを思い出し、自分でも思わず笑ってしまいました。マリーナと古玉美も笑いに加わります。

　　「それから、コーエも容疑がありますね。」マリーナが言います。

　　「彼女は警備員に門の外で止められて中には入っていませんでした。」

　　「入っていないけれど、中にいる誰かに合図を送る可能性もありますね。」

　　「では、動機はどうなりますか？彼女がミントを嫌う理由はないように思います。」

　　「いたずらです。」

　　「彼女が小玉の姉と同じ男性に惹かれていたというのを言って欲しかったです。」紗希はため息をつきます。「いたずらが後の葬式を引き起こすのでしょうか？」

　　「それも動機の一つです！」

　　「でも可能性はあるでしょうか？小玉の姉はバーで彼氏と知り合ったはずですが、コーエはそのような場所に行ける可能性がありますか？」

　　「うーん...」マリーナは一生懸命考えてみましたが、結局あきらめて「やめましょう」と言います。

　　「ハッカーの可能性はありますか？」

　　「おそらくあまり可能性は低いです、相手が非常に優れている場合を除いては。」

　　「では、奇怪な進行曲について話し合いましょうか？他に何か動機はありますか？」

　　「愛から生まれる憎しみ？」マリーナが再提案します。

　　「それは誰でもあり得る可能性ですよね？小蝶の姉もそうかもしれません。」

　　紗希は、倉庫での討論を提案します。なぜなら静かで他の人に邪魔されない上に、インターネットが使えるからです。倉庫にあるコンピュータは本来、倉庫のデータを整理するために使われていましたが、紗希のパパママはあまり使わないので、紗希がインターネットを利用することになりました。

　　四人の議論は行き詰まり、退屈に陥ったマリーナは、ミントの短編動画をインターネットで観ることになりました。張螢雪は一人で横に座り、紗希と古玉美は意味のない議論を続けることとなりました。マリーナは、誰かが美夏のデビューソングをミントが歌うバージョンにアレンジしたものを見つけ、躊躇することなく再生し、歌に合わせてそっと口ずさむのです。

　　「やはり最初に戻りましょう。」紗希は最初から整理することを決意し、何か発見があるか確認します。「事の経緯は、まず最初に小玉の姉がミントの録音を担当し、その後データが削除され、彼女も行方不明になりました。」

　　古玉美は頷き、紗希は話を続けます。「その後、ミントのコンサートがありました。途中で彼女が殺されたシーンが流され、演奏が中止されました。それから数日後、ミントの葬儀の映像がインターネットに現れました。おおよそこんな感じです、問題はありますか？」

　　「質問してもいいですか？」古玉美は小学生のように手を挙げ、非常に重要な質問をしました。「なぜ私の姉姉のデータを削除したのですか？」

　　紗希もそれは重要な質問だと思い出し、しかし答えはないと考えます。「でも、私はそれがあなたの姉姉が行方不明になった理由であり、事件を解決する鍵だと思います。」

　　「なぜですか？」と、張螢雪が突然尋ねました。

　　「何が企業にこのような決定をさせ、また小玉の姉を失踪させたのか、その原因は何でしょうか...」

　　「なぜ彼女の姉の失踪が事件の鍵となるのでしょうか。」

　　「それは...」

　　「なぜこれらの出来事が無関係であってはいけないのでしょうか。」

　　「時間的な要因が非常に近接しているからでしょうか？」古玉美は自分の見解を述べました。

　　「他の事はどうでしょうか？」

　　「他の事ですか？」

　　「例えば、なぜ愛が憎しみを生むのでしょうか？なぜ彼女の姉をミントと関連付ける必要があったのでしょうか？あるいはアランと彼の熱心なファンといったことも考えられますが...」

紗希は突然目を輝かせ、何かを思いついたようにマリーナに質問しました。

　　「マリーナ、スティーブン初期に作成されたミントの楽曲を見つけられますか？確認したいことがあります。」

　　「なに？」マリーナは一瞬戸惑い、そして言いました。「わかりました、了解。」

　　操作しばらくして、映像が表示されました。正確には映像ではなく、歌だけで、映像はありません。ただし、この作品は大手の動画共有サイトにアップロードされていましたので、厳密には映像と言えるかもしれません。その後、四人と一匹は数曲の動画を見続けましたが、すべてが歌だけであり、ほとんどがオリジナル作品であり、その調和は非常に優れていて、非常に心地よく響いてきました。

　　「少なくとも、私の仮説は間違っていることが確認されました。スティーブンは犯人ではありません。」

　　「ちょっと、さっきの歌を再生してもいいですか？マリーナ、とても素敵に歌っていましたよ。」古玉美は螢光幕に向かって頭を出し、言いました。

　　「ええ、もちろんです。あれは私のデビュー曲なんですよ。」マリーナは得意そうに言いました。

　　「すごいですね。」

　　「ふふ。」マリーナは珍しく恥ずかしそうに笑いました。

　　「ミントが歌うのもとても良いですが、何かが足りないと感じますね。」紗希も同意しました。

　　「もしかしたら制作スタッフの技術が不足しているのかもしれませんね？」マリーナは言いながら、雪子が制作した歌を選んで再生しました。もちろん、オリジナルは雅蘭です。確かに、雪子の制作は先ほどのものよりも優れていて、より生き生きとしています。紗希は雪子の記録を見てみると、彼女の言うとおりで、すべて雅蘭の歌でした。ミントが異なる方法で、電子音を意図的に使用して雅蘭の歌を再解釈しているのが聞こえてきました。

　　紗希の提案に従い、彼女たちは関係者が制作したミントの動画を一つずつ見ていきました。アイスストームだけが独自に制作した動画はなく、協力して制作したのは3Dアニメーションの部分を担当していました。小蝶の姉、翠華も彼女自身が言うように流行に敏感で、制作したのは全て最新の流行曲で、もちろん美夏のものも含まれていました。感想ですが、どう言えばいいでしょうか。翠華の技術は素晴らしいですが、少し創造性が欠けているように感じられました。歌は素晴らしいですが、オリジナルの歌手には及びません。

　　奇妙な行進曲の歌は、さまざまなジャンルがあり、ポップ、クラシック、オリジナルなど、様々なものが含まれています。いくつかは再編曲されており、最も特筆すべき特徴は、できるだけ電子音を取り除き、元の人の声を再現することです。

　　アリス・クリスティーナが制作するものはすべてアニメの歌であり、そのために彼は電子音の感覚にはあまりこだわりません。時折、この感覚を意図的に利用して、理解が難しい有名なアニメの主題歌を歌うことで、幻想的な感覚を強調します。そして、アリス・クリスティーナの3D制作は非常に優れており、プロのアイスストームにもひけを取らないほどです。ただし、彼はミントのためにアニメの衣装をデザインしてコスプレすることが好きです。

　　「どうですか？名探偵さん、何か手がかりはありますか？」マリーナは真剣な表情の紗希を見て笑顔で尋ねましたが、紗希はコンピュータの画面に見入っている様子でした。マリーナは彼女の視線に従って画面を見ましたが、特別なものは見当たりませんでした。その後、再び紗希を見ると、彼女の目の前に手を振っていました。

　　「あ──あら──！」紗希は驚いて、マリーナの手が近くにあることに気づいて、後ろに倒れて、椅子ごと床に転がりました。

　　「大丈夫ですか、紗希さん？」古玉美は急いで心配そうに尋ねました。

　　「大丈夫です。」紗希は力強く立ち上がり、眼鏡を正しました。

　　「驚かせないでください。」

　　紗希はマリーナに白い目を向けながら、椅子を持ち上げて元の位置に戻しました：

　　「さっき気づいたんです、私たちは一つの事実を誤解していると思います。」

　　「誤解？何が誤解なんですか？」

　　「雪ちゃんが言ったように、ミントは小玉の姉妹ではないけれど、私たちはずっと両者を混同していました。」

　　「ということは、この2つの事柄には関連がないと言いたいのですね？」

　　「いいえ、関連があると思います。まず最初に小玉の姉が彼氏を見つけ、それから会社が彼女の情報を削除し、彼女が失踪しました。最後にはコンサートでの仮想的な殺人事件と葬式が起こりました。これらの出来事は一連のものであり、関係がないはずがありません。しかし、言いたいのは、ミントが好きだからといって必ずしも小玉の姉妹も好きだと当然に考えるのは間違いだということです。」

　　「先生、もう少し簡潔に説明してもらえますか？」マリーナが手を挙げて質問しました。

　　「つまり、小玉の姉が好きだけどミントが嫌いな人が犯人である可能性はない、ということですか？」

　　「あなたは言っているのは…」古玉美が口元を隠して言います。

　　「そう、」紗希は頷きながら、マリーナに向かって言います、「特定の人のビデオをもう一度見たいのですが、手伝ってくれますか？」